TOP  NSJアップデート  IPO  IPO社長会見 トリドリ 誰もがSNSの力を享受できる世界に
IPO2023年1月4日

IPO社長会見 トリドリ 誰もがSNSの力を享受できる世界に

トリドリ(9337)が2022年12月19日、東証グロースに新規上場した。同社はインフルエンサーにPR投稿を依頼できるプラットフォームを運営。初値は公開価格を82%上回る2,733円だった。上場当日の記者会見で中山貴之代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

インフルエンサーと企業をマッチング……主にマイクロインフルエンサーとSMB(中小企業)の皆さまをつなぐ「トリドリベース」「トリドリマーケティング」などのプラットフォームを展開するほか、直接インフルエンサーを支援するようなサポート事業も行っている。メガインフルエンサーからマイクロインフルエンサーまで、幅広い層に対して様々なサービスを提供しており、その中でも特定の分野のプロフェッショナルとして狭く深い影響力を持っているマイクロインフルエンサーに注力している。クライアントは月額4万円からインフルエンサーを採用し放題となり、アプリを通じてマッチングできて簡単にインフルエンサーを起用できる。また、顧客、インフルエンサーのサービスはともに審査体制があり、健全性も担保している。通販、店舗問わず、幅広いクライアントに利用していただいているが、顧客属性としては特にグルメとビューティーのジャンルが多い。一方、インフルエンサーは特に20歳代後半から30歳代前半のF1層がメイン。

成長を支える強み……登録インフルエンサー数は3.5万人。最も注視しているのは売上総利益の推移で、インフルエンサーマーケティング事業が全体の約8割を占めている。今期は3Qまでで既に前年度の実績を上回っている。トリドリの強みは営業と開発、そしてインフルエンサー支援の組織の3つ。営業は月間300社以上の新規クライアントとの契約が可能である営業組織の構築ができている。また、月間2万マッチングを支えるシステム開発が可能な開発組織を自社に構築。さらにインフルエンサー出身のスタッフがインフルエンサーの支援を行ったり、インフルエンサーが使うサービスの企画を考えている。自身ももともとインフルエンサーとして活動していたため、どういう状況で困るのか、どういうサポートを受けたいのか、インフルエンサーの気持ちがわかることが強みと捉えている。

時代はテレビ→SNSへ……SNS(交流サイト)が消費者の主たるメディアの媒体となる中で、企業とインフルエンサーをつなげるインフルエンサープラットフォームが時代の追い風に乗って活躍できると考えている。消費者に認知や検索行動をしてもらうためにはSNS上で情報が表示され続ける必要があり、インフルエンサーに継続的に質の高い投稿をしてもらうことが重要。従来のインフルエンサーマーケティングは大手の企業が代理店に依頼して、アナログでインフルエンサーを起用するということが一般的だったが、トリドリのプラットフォームは簡単にかつ安く、インフルエンサーマーケティングを活用できる。これまでなかなかインフルエンサーマーケティングができなかったSMBの方々にも使っていただけるようになった。SMBの中でも、トリドリがターゲットとしているのはポータルサイトを利用している方々58万社。現在、マイクロインフルエンサーは国内に約140万人いるとされるが、トリドリはまだ2.5%ほどのシェアなので、まだまだこちらも拡大していけると考えている。

データ活用、事業領域拡大へ……トリドリはインフルエンサーと企業のマッチングデータを持っている。こうしたデータをもとに、顧客に対してはよりその企業に合ったインフルエンサーをマッチングできるようにしていく。あとはSNS全般のマーケティング活動の最適化、インフルエンサーに対しては、より個々の特性に合った案件の提供を行っていきたい。また、案件だけではなく、その影響力を活かしたD2Cのサポートや、就職先・副業先の紹介といったような、広告だけではないサポートをすることによって、インフルエンサーの価値を最大化していく。顧客やインフルエンサーのサポートを通じて、細分化された消費者のニーズに対してよりマッチした情報を提供できるようにしていきたい。

成長戦略……まずは新規顧客の獲得に力を入れる。もともとはWEBマーケティングを中心としたマーケティングが主な新規顧客の獲得機能だったが、今年からは中小企業に営業力のある販売代理店との契約を進め、これを中心に販売代理店を強化したり、さらには展示会だったりと、アウトバウンドの施策に注力している。続いて顧客単価の向上。トリドリベース自体は無料で企業に提供するところからスタートし、単価を伸ばしながら顧客数を伸ばしてきた。機能追加による付加価値の増加とLTV(顧客生涯価値)の向上をもとに、引き続き単価向上を図っていく。同時にプラットフォームを強化することで、インフルエンサーの増加と定着にも取り組んでいく。

プロダクト方針……トリドリベースは今後、SNSでの認知だけではなく、消費者の行動に関する部分にも寄与していく。これまでに、顧客企業のSNSの運用を全て代行して弊社で行うというようなサービスや、消費者がGoogleで検索した時に、Googleのマイビジネスにインフルエンサーの投稿が自動で反映されるようなサービス・機能を追加している。引き続き顧客満足度を高めるプロダクトの開発を進め、インフルエンサーマーケティングの効果の最大化を目指していきたい。(SS)

関連記事