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IPO2023年7月24日

IPO社長会見 ナレルグループ 人材不足の建設業界に技術者派遣

ナレルグループ(9163)が7月21日、グロースに新規上場した。ゼネコンなどに施工管理技術者などの人材派遣を行っている。初値は公開価格を5.5%下回る2,540円。上場当日の記者会見で、小林良代表取締役=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

未経験人材を教育……2008年に建設技術者派遣のワールドコーポレーションを設立し、現在の事業の軸となる未経験人材の育成を軸とするモデルを12年より開始した。19年に(投資ファンドの)アドバンテッジパートナーズの出資を受け、21年にナレルグループとして組織再編し、4つの事業を展開している。業界では後発だが、未経験人材を正社員として採用し、教育して派遣するビジネスモデルをいち早く着手したことにより、今では売上高140億円を超える規模まで成長し、建設派遣業界では大手と呼ばれる地位を確立。高成長、高収益を実現している。建設業の有効求人倍率は5.51倍で圧倒的な人材不足を背景に建設技術者派遣事業は今後も高い成長性が期待されている。建設技術者を採用、育成、市場に供給することができる当社の存在意義はますます高まっていくものと考えている。

東京五輪など大規模現場も……グループ各社の事業内容が、ワールドコーポレーションはゼネコン、工務店から派遣依頼や図面発注を受け、施行管理者いわゆる現場監督と言われる建設従事者の派遣を主に行っている。施行管理者は品質管理、工程管理、安全管理が主な業務となっており、依頼元であるゼネコンと現場の職人の間をつなぐ重要な役割。派遣現場はTSMC熊本工場、過去では東京オリンピックの建設現場、主要都市での再開発工事、リニア、風力発電など大型案件にも幅広く人材を派遣している。

職人紹介のプラットフォーマー……ATJCはITエンジニアを雇用、育成の上クライアントであるシステム開発企業に対してシステムエンジニアリングサービスおよび派遣サービスを提供。ワールドコーポレーションで培った未経験者の採用、育成ノウハウを横展開することで急速な成長を遂げている。建設業の有料職業紹介事業は認定団体のみが可能であり、全国で3団体のみ。実態としては我がグループの全国建設請負業協会だけが人材紹介業の活動をしており、日本で唯一の団体となる。職人紹介向けのプラットフォーマーとして人材紹介ビジネスを展開している。

2つの強みで高成長……当社の高成長、高収益を支える強みの1つ目は未経験者採用戦略で安定的な人材確保が可能な高い採用力。2つ目は需要の高い若手技術者を供給し続けることで継続的な契約単価向上を実現していること。建設派遣業界では即戦力となる経験者採用が主流だが、当社は長年蓄積した採用、教育ノウハウを活用することで、安定的に技術者人材を比較的低コストで採用し、即戦力人材として育成が可能になっている。成長戦略については大きく3つある。1つ目は自社メディア活用による効率的な経験者採用システムの構築と派遣事業のさらなる展開。2つ目は職人紹介事業への参入による人材紹介サービスへの展開。3つ目は建設ICTコンサルティングへの展開。

ファンドは徐々に良い形で……アドバンテッジパートナーズとの関係だが、当初は一度IPOを計画したが、会社の管理体制が追いつかず断念した。そのためにPEファンドを選んだ。今後の関係は分からないが、今回ある程度放出したので、どこかのタイミングで、徐々に良い形で抜けていってくれると期待している。(SS)

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