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IPO2024年2月8日

IPO社長会見 SOLIZE モノ作りのデジタル化を黎明期から支援

SOLIZE(5871)が2月7日、スタンダードに新規上場した。デジタル技術や3Dプリンター技術を駆使し、顧客企業の製品開発をサポートしている。公開価格を37.4%上回る2,020円で初値を形成した後、ストップ高(2,520円)で引けた。上場当日の記者会見で宮藤康聡代表取締役社長CEO=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

民事再生から復活……1990年、株式会社インクスとして創業した。モノ作りのデジタル化の黎明期に一定の知名度を上げたが、残念ながら2009年に過剰な投資とリーマン・ショックが重なり、民事再生を申し立てた。その後、経営陣を一新して再出発。12年の民事再生手続き終結を経て、13年にSOLIZEに社名変更した。多くのお客さま、残ってくれた社員と一緒にパブリックな企業になりたいとやってきており、筆頭株主が従業員持ち株会というのが大きな特徴になっている。20年代に私が社長になり、コロナ禍でも売り上げを伸ばすために国内のグループ会社3社を統合し、21年以降は2ケタ以上の成長を続けている。

実践と変革の組み合わせは日本で唯一……創業以来行っているビジネスはエンジニアリングサービスとマニュファクチュアリングサービス。モノづくりを生かして2000年に始めたコンサルティング事業も加えた3つが大きな柱。エンジニアリング、マニュファクチュアリングで実践力を提供し、コンサルティングによる変革力を加える。実践と変革の両方を持ち併せてサービスを提供するのは日本でも唯一の存在と確信している。

ハイエンド領域に特化……エンジニアリングサービスはモノづくりのデジタル化が進み、設計が2Dから3Dに大きく変わるタイミングで、エンジニアを育てお客さまに送り込む一番大きなビジネス。一番の特徴はハイエンド領域に特化していること。例えば3DCAD(3Dデータによる設計ソフト)はハイエンドとミドルレンジに分かれているが、技術習得が難しく、ライセンスフィーが高いハイエンド領域に特化したエンジニアを保有している。エンジニア数は国内1,200人、海外を合わせると1,500人。

3Dプリント製品がレクサスに採用……マニュファクチュアリングサービスは、3Dデータを実際に出力するという画期的なサービス。3Dプリンターの黎明期から取り扱い、自動車をはじめ試作品の提供、装置販売を行っている。昨年、自動車の量産部品として初めて3Dプリント製品が、品質に厳しいトヨタのレクサスブランドで採用され、国内外で注目を集めている。コンサルティングサービスの一番の特徴は独自のメソドロジー(やり方)。開発現場でベテランの技術承継が難しい中、暗黙知、ノウハウを可視化、数値化して、顧客の組織を活性化するメソドロジーを独自に開発して評価を得ている。

請負サービスの需要も好調……顧客は自動車産業を中心に製造業に展開している。自動車産業は100年に一度の転換期で、顧客のリソースがハードからソフトにシフトするなか、当社が外装や内装設計を請け負うサービスの需要が非常に多い。われわれはプロセスの整流化もできる。一昨年、ホンダで行って横展開。昨年、展示会で事例を紹介すると複数の引き合いがあり、非常に伸びている。

新領域で成長加速……力を入れているのが対象プロセスの拡張。従来は設計、解析、試作品の提供がメインだった。最近は上流では顧客の基礎研究を支援。下流では3Dプリンターによる少量の量産品供給に拡張している。20年以降はソフトウェア領域にも拡張。組込系ソフトの開発や最近はサイバーセキュリティといった新領域にもしっかり投資。20年以降は売上高の5%を投資している。従来の3つの事業でしっかり客をつかんで着実に伸びていくことに加え、ソフトウェアなどの新規領域で成長を加速する。従来と新規の掛け合わせで年率10%台後半の成長を狙っていきたい。今はどちらかというと利益よりも成長のための投資を優先しており、あるスケールになった後に、営業利益を徐々に上げていくことを考えていく。

海外展開は各国に応じた戦略……海外は米国、インド、中国に拠点がある。米国ではGMやホンダが大きい。新しい技術を取り込み、スピード感が非常にあるので今年から執行役員を駐在させており、マーケットをしっかり見て成長のアクセルを踏みたい。インドは人口を考えていくと大きく伸びる。既に自動車市場は日本を超えた。日本国内でスズキと取引しているので、関係をうまく使えれば。中国は広州のホンダを中心にビジネスをしている。自動車をやっていく上で中国は欠かせない一方、地政学リスクもあるので見極めながら展開したい。機会があれば東南アジアにも(参入したい)。(HS)

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