6月9日（水）のマーケット                                                                   

前日の米国株式市場でNYダウは続落。10日発表の5月の消費者物価指数を控えていることや手掛かり材料難となったが、長期金利が0.04％低下し1.53％となったため、下値は限られた。金利低下でバンク・オブ・アメリカなどの金融株はさえない展開。NYダウは30ドル（0.09%）安の34,599ドル。ナスダックは3日続伸。医療保険会社のクローバー・ヘルスは、オンライン掲示板レディットで空売りの買い戻しによる踏み上げ(ショートスクイーズ)の可能性が話題となり、大幅続伸。ナスダック総合指数は前日比43ポイント(0.31％)高の13,924ポイント。S＆P500指数は前日比0.7ポイント(0.02％)高の4,227。

本日の東京市場は、続落スタート。昨日同様、東証1部全体では上昇銘柄数の方が多く、経済再開を先取りする銘柄群に物色の矛先が向かった。エーザイは2日連続のストップ高。反対に、指数寄与度の高いファーストリテイリングは前場に年初来安値を更新。週末のメジャーSQに向けて様子見姿勢も伺える。大引けの日経平均は102円安の2万8,860円。売買代金は2兆3,029億円。前日まで6連騰となっていたTOPIXは5ポイント安の1,957ポイント。

新興市場は堅調展開。JASDAQはもみ合いで日経JASDAQ平均はわずかに反落。倉元製作所はコーニングジャパンと長期契約でストップ高。太洋工業は欠陥検出機能を強化した外観検査装置を開発しストップ高。一方で、シキノハイテックやアクセスG、フェローテック、シンバイオ製薬は急落。マザーズ指数は3日続伸。BASEやステラファーマ、オンデックが大幅高。中古車販売店のグッドスピードとネットマーケティングのサイジニアは年初来高値。対して、アクシージアやベビーカレンダーは下落。

チャート上では、ギャップダウンとなり5日移動平均線（2万8,968円）を割り込み、ザラ場中でも2万9,000円台乗せとはならず。

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【鈴木一之 マーケットレポート　「経済再開」に向け着実に前進】
日本証券新聞6月10日（木）紙面1面記事掲載

コロナで露見した“弱点”の克服へ

鈴木一之です。6月相場も第2週目に入りました。夏至(6月21日)が近づいてだんだん暑くなってきました。日の長さが実感されます。

株式市場は5月連休明け直後の急落から徐々に立ち直りを見せています。TOPIXは5月高値を上回りました。原動力はトヨタ自動車、デンソー、アイシンなどの自動車と、日立、富士フイルムHD、NTT、KDDIの情報通信です。いずれも好調な業績見通しの発表をきっかけに気迷い気分の強いマーケットを牽引しています。

それぞれの企業独自の強さ、向かっている方向性の正しさもありますが、それらの後方を支えているのが足元の経済の回復ぶりです。月が改まったので日を追うごとに最新の経済データが確認できます。普段以上に今回は、いずれも先行きを示す貴重な手掛かりとなっています。

4月の鉱工業生産は、生産が前月比△2.5%と2カ月連続でプラスとなりました。電機と機械が牽引しています。生産指数の99.6はコロナ危機前の2020年1月の水準である99.1を上回っています。

4月の家計調査では、消費支出(2人以上の世帯)は前年比△13.0%の増加となりました。