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コラム2023年3月10日

【本日のマーケット】3月10日(金)週末版 鈴木一之氏特別寄稿

3月10日(金)のマーケット                                                                   

3月9日の米国株式市場は下落。シリコンバレーを中心に事業を展開する銀行持ち株会社SVBファイナンシャル・グループは、証券ポートフォリオの損失と増資を発表し60%安となり、銀行持ち株会社シルバーゲート・キャピタルは暗号資産ビジネスに関与していたが、FTXの経営破綻をきっかけに預金引き揚げが相次いだため、銀行業務の縮小と清算計画を公表したことで42%安となった。これらの影響でバンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェース、チャールズ・シュワブといった金融株が売られた。NYダウは前日比543ドル(1.66%)安の32,254ドル。NASDAQ総合指数は前日比237ポイント(2.05%)安の11,338。S&P500指数は前日比73ポイント(1.85%)安の3,918。

6日ぶりに反落となり、全面安。米国金融株安で邦銀も売られた。日本郵船は中期計画の純利益目標が今期予想に対してかなり水準が低く業績ピークアウト感から売られ、邦船各社も下落した。セブン&アイは反落。米国で暗号資産ビジネスのシルバーゲート・キャピタルが急落したため、暗号資産関連子会社のメルコインを持つメルカリも下落。鎌倉新書は大幅増益見通しだが出尽くし感から大幅安。自社株買いを発表した大日印が上昇し、菱洋エレクは好決算で高い。

スタンダード市場では、顔認証改札機の高見沢が利食い売りで大幅安となり、回転寿司迷惑行為検知システムのダイワ通信は続落。東邦金属は核融合炉用高熱負荷機器開発が重要マイルストーンを通過しストップ高。TBグループは子会社がJTBと富裕層向け医療ツーリズム事業でストップ高。

グロース市場では、八十二銀と顧客紹介のビジネスマッチングで高騰続きだったBTMは信用取引規制で大幅反落。メタバース関連のカヤックは利食い売り。チャットGTP活用のエーアイは4日続伸。BlueMemeは自社株買いの発表で買われ、INCは衛星データ利用事業で高い。

日足チャート上では、3月に入ってからギャップアップを繰り返し、昨日は2万8,700円台まで上昇。昨年8月以来の高値水準まで到達となった。本日のメジャーSQが背景と見られ、海外勢を中心に先物の買戻しを迫られ、ボリンジャーバンドの+3シグマに沿ったバンドウォークて高値を更新。連日で窓を空けており、酒田五法で言う「三空」が示現。プライム市場の騰落レシオは132.64%まで上昇しており、本日のメジャーSQ通過で一休みといったところか。週足では、長い上ヒゲを伴う実体線の短い陰線で安値引け。ここで踏み止まってほしいところ。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。今週は旭化成(3407)の動きが印象的でした。

今期の連結赤字が20年ぶりに▲1050億円の規模まで拡大すると発表した直後に、株価が下落することなくプラスで推移しました。素材セクターから業績悪化をきっかけに株価が上昇する例が出てくると、経験的には大底圏に入ったことが示されます。

3月は会計ベースで年度の最終月です。中期経営計画を新たに策定する、あるいはリニューアルする企業も増えています。今週はリコー(7752)、セブン&アイHD(3382)が野心的な中計を発表しました。

そのような計画がすぐさま株価にプラスの変化を与えることはないかもしれません。しかし企業は中期計画を策定することで、着実に変わろうとしています。時代の劇的な変化を目の当たりにして、変化しないという選択は許されなくなっています。

長らく変化のなかったマーケットに明確な変化が見られるようになりました。遅まきながら日本企業にも新たな動きが始まったと前向きにとらえたいと思います。

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【アクティビスト猛威で次なる銘柄は!?
日本証券新聞3月13日(月)紙面1面TOP記事掲載 

大日本印刷 3段上げで悲願のPBR1倍到達

大日本印刷(7912・日足)

米国発の相場波乱に巻き込まれた10日の東京市場で話題を集めたのが大日本印刷(7912・P)の逆行高だ。

一時9.7%高で16年10カ月ぶりの高値水準。年初来の上昇率も5割を突破してきたが、チャート参照の通り、上昇は3段階に分けられる。最初は①アクティビストの米エリオットによる株式取得報道を受けた急伸。続いては②(水面下での対話効果によるものか)中期計画策定に向けた「基本方針」のなかで「PBR1.0倍超の早期実現を目指します」と表明したことで一段高。そして今回。③発行済み株式の15%に相当する上限4,000万株の自社株買いや中期計画「骨子」を発表し、三段上げのもと1株純資産(前3月期末4,057.98円)に到達し、一時、めでたく「PBR1.0倍超の早期実現」を果たしたことになる。低PBR株買いの“理想的ストーリー”と言えようか。

実際にアクティビストの関与がどれだけあったのかは不明だが、エリオットと言えば、アルゼンチン政府に勝訴した剛腕ファンドとして知られるだけに一定の影響力行使が想起されるところだ。

9日にはやはり有力アクティビストの米バリューアクトが投資するセブン&アイ(3382・P)も、祖業・アパレル撤退やヨーカ堂店舗2割削減という大胆なグループ戦略を発表している。10日のセブン&アイは前日の急伸(最高値更新)を帳消しにする急反落となったものの、アクティビスト銘柄が要マークであることに変わりはない。

・・・続きは紙面・Digital版で!

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今日の市況概況
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3月10日(金)☆[概況/大引け] 

ほぼ全面安で銀行と海運の下落率が大きい

大引けの日経平均は479円安の2万8,143円、TOPIXは39ポイント安の2,031ポイント。東証プライム市場の上昇銘柄数は126、下落銘柄数は1,673。出来高は16億9,375万株、売買代金は4兆1,566億円。
9日の米国で増資と有価証券の売却に伴う損失を表明したSVBファイナンシャルや、暗号資産関連のシルバーゲート・キャピタルが急落し、他の金融株も売られた影響で、10日の日本でも三菱UFJやりそな、千葉銀行などの銀行株が売られた。

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