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IPO2022年9月20日

新規上場紹介 ソシオネクスト 10月12日 プライム カスタムSoC中心のファブレス半導体ベンダー

ソシオネクスト(6526)が10月12日、プライムに新規上場する。

富士通(6702・P)パナソニックHD(6752・P)の半導体事業を統合したファブレス半導体ベンダー。1つのチップ上に装置やシステムの動作に必要な機能を実装したSoC(System on Chip)と呼ばれる半導体チップを開発・提供している。

ソフトウエアまで含めた設計開発能力を有し、高度なエンジニアリングリソース群を抱えるほか、量産・品質保証・SCM(供給連鎖管理)までトータルにサポートできる総合力が強み。また、水平分業が進む半導体業界のメリットを最大限生かすべく、自社で工場を持たないファブレス形態をとっている。

従来はASIC(カスタムIC)やASSP(特定用途向けIC)を中心に事業を展開することで、顧客の独自先端SoCの開発を支援していたが、上流設計を自ら行う能力を保有する企業に利用が限定されたり、カスタマイズの幅が限定されるといった課題があった。そこで同社は、上流設計を顧客とともに行い、世界の製造パートナーやツールベンダーと連携のもと、より最適なカスタムSoCを提供することができる「ソリューションSoC」というビジネスモデルを確立した。

ビジネスモデルのシフトに加え、注力する事業領域も従来のテレビなどコンシューマー向け中心の分野から、「オートモーティブ」「ネットワーク/データセンター」「スマートデバイス」といった先端成長分野へ大きく転換した。その結果、2018~19年3月期に1,000億円水準だったグループの商談獲得金額は、20~22年3月期において2,000億円水準に増加。これらの設計開発や顧客の評価が徐々に完了し、23年3月期以降は本格的に量産段階に入ってきている。

なお、同社は設計開発段階において、顧客から設計開発に要する費用の大半をNRE(量産化前の開発段階で受け取る売り上げ)売り上げとして段階的に受領し、量産段階において、グループの売り上げ全体の大半を占める製品売り上げを受領する。

現在は「オートモーティブ」におけるAD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)や車載センシング、「ネットワーク/データセンター」における5G携帯基地局やAIアクセラレータ、「スマートデバイス」におけるAR(拡張現実)・VR(仮想現実)などの分野で商談を獲得、開発実績を積み上げ、一部製品では既に量産化を開始している。これら3分野に加え、現在安定的な収益を計上しているFA(ファクトリーオートメーション)、テスターなどの「インダストリアル」分野や、特異な技術で今後の成長が期待できる電波式測距センサーなどの「IoT&レーダーセンシング」分野でも事業を展開している。

半導体不足の影響については23年3月期に入り少しずつ解消されてきており、先端プロセステクノロジーを中心に、需要に対して製造委託先から確保できたキャパシティーの充足率は改善されつつある。(SS)

概要

●事業内容=ファブレス形態によるSoC(System on Chip)の設計・開発および販売
●本社=神奈川県横浜市港北区新横浜2-10-23
●代表者=肥塚雅博代表取締役会長兼社長兼CEO
●設立=2014年9月
●上場前資本金=302億円
●発行済み株式数=3,366万6,666株(上場時)
●筆頭株主=富士通(上場前39.68%)
●公募株式数=無し
●売出株式数=1,181万6,200株(ほかにオーバーアロットメントで177万2,400株)
●仮条件=9月26日に決定
●ブックビル期間=9月27日から30日まで
●引受証券=SMBC日興、野村(共同主幹事)、大和、みずほ、SBI、楽天、マネックス

業績推移(連結)

売上高 経常利益 1株利益 配当
2021.3 99,746 1,969 43.63
2022.3 117,009 9050 222.18
2023.3(予) 170,000 17,000 386.14 160
※単位100万円、1株利益・配当は円

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