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IPO2023年9月12日

新規上場紹介 西部技研 10月3日 スタンダード デシカント除湿機やVOC濃縮装置などの製造、販売

デシカント除湿機やVOC(揮発性有機化合物)濃縮装置などの製造、販売、据付工事などのサービスなどを手掛ける西部技研(6223)が10月3日、スタンダードに上場する。

1965年に前身となる西部技術研究所がスタート、74年には同社製品のコアとなる連続ハニカム成形技術を確立した。デシカント除湿機やVOC濃縮装置、全熱交換器などの製品の心臓部にハニカムロータ(回転体)が使用されている。

デシカント式除湿機は、シリカゲルやゼオライトなどの吸着材を用いてハニカム内部に湿気を吸着させて空気を除湿する。空気を冷却する必要がないため、低温時や空気中に水分が少ない低露点環境でも効率的に除湿ができる。製品の品質維持のために製造工程で湿度コントロールを必要とする食品・製薬工場のほか、EV(電気自動車)向けなどに需要が急増しているリチウムイオン電池、二次電池や有機ELといった先端技術の製造工程にも採用されている。このほか、美術館・博物館、スーパーマーケット、室内アイススケートリンク、発電所などでも使われている。

VOC濃縮装置は、塗料から発生する大気汚染の原因となるベンゼンやトルエンなどの揮発性有機化合物をVOC濃縮ロータに吸着させ、分解して排出ガスを無害化する装置。自動車や船の塗装、半導体の製造、グラビア印刷のなどVOCが発生する工場、VOC含む原材料を扱う生産拠点などで使われる。世界各国で大気汚染防止のための環境規制が一段と厳しくなり、特に半導体、自動車塗装のような大風量のVOC混合排気の処理では省エネ性能が高い同社の装置が優位となっている。

今後の戦略としては、デシカント除湿機はリチウムイオン電池などの「成長産業」、製薬や食品などの「緊要産業」、交通機関、インフラなどの「有望産業」を重点ターゲットと定め、販売を強化する。VOC濃縮装置では新興国市場、新規用途の開拓を進める方針だ。

2023年12月期の売上高は前期比9.1%増の271億4,700万円、経常利益は同10.1%増の52億6,700万円を見込む。(M)

概要

●事業内容=デシカント除湿機やVOC 濃縮装置などの製造、販売、据付・保守などのサービス
●本社=福岡県古賀市青柳3108-3
●代表者=隈扶三郎代表取締役社長
●設立=1965年7月
●上場前資本金=1億円
●発行済み株式数=2,050万株(上場時)
●筆頭株主=グリーンフューチャー(上場前26.93%)
●公募株式数=新株発行50万株、自己株式の処分143万株
●売出株式数=334万700株(ほかにオーバーアロットメントで79万600株)
●仮条件=9月15日に決定
●ブックビル期間=9月19日から22日まで
●引受証券=SMBC日興(主幹事)、野村、FFG、みずほ、三菱UFJモルガン・スタンレー

業績推移(連結)

売上高 経常利益 1株利益 配当
2021.12 17,403 2,063 84.78 0.5
2022.12 24,890 4,783 195.56 0.5
2023.12(予) 27,147 5,267 213.96 未定
※単位100万円、1株利益・配当は円

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