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コラム2021年4月12日

相場の福の神 真の成長企業はコレだ! (第46回) 東京計器(7721)

グローバルニッチトップ+「新領域」で成長加速

まいど!「相場の福の神」こと藤本誠之です。年間300社を超える上場企業のトップにインタビューを行っていますが、本連載では、その中から厳選した「真の成長企業」をご紹介していきます。

東京都大田区南蒲田に本社を置く東京計器 (7721)。1896年(明治29年)に、わが国初の戦艦向け圧力計の計器工場として創業した老舗のメーカーです。1922年(大正11年)には健康保険制度の認可第1号を取得したり、1917年(大正6年)には光学計器部門を分離独立させ三菱合資会社と共同で日本光学工業株式会社(現在のニコン)を設立するなど、日本の歴史を作ってきた企業でもあります。

“世界トップ”が多数

計器のメーカーとして創業、商船用航海計器の先駆の企業ですが、現在では、航空計器、防衛省向け機器、油空圧機器、流体機器など、時代の流れに合わせて、幅広い領域で圧倒的なトップシェアを誇る製品を展開しています。

例えば「航空」では、日本で最初にレーダーやジャイロコンパス、オートパイロットの生産を開始。ジャイロコンパスとオートパイロットは圧倒的な世界トップシェアを誇ります。「流体」では、配管の外側にセンサーを取り付けるだけで管内を流れる水量を高精度に計測できる超音波流量計を世界で初めて実用化しています。

新幹線のレールを検査する「ドクターイエロー」も東京計器です。レール内部の探傷検査だけでなく、光学検査機器によってレールの摩耗状態なども多角的に検査する装備を備え、鉄道の安全を守っています。

3つの期待の新製品

「半導体製造装置市場」を成長事業と位置付け、新商品の開発を加速させています。得意とするマイクロ波技術により半導体の微細加工の進展に寄与する技術開発を進めており、来期には本格的な量産を予定しています。

「自動運転関連」ではトラクタ用の直進自動操舵補助装置を開発。GNSS(GPS=衛星測位システム)信号によって位置を把握し、設定した直線ルートをトレースするようにハンドルを自動操舵します。燃料電池車を支える「水素ステーション」も手掛けています。長距離走行させるためには水素をできるだけ多く充填しなければならず、軽くて密度の低い気体である水素を限られたタンクの中にたくさん詰め込こむために必要な圧力のパワー源として、同社の油圧システムが活躍しています。

(福の神ポイント) 東京計器はグローバルニッチトップ製品を数多く持つ上に、今後は「3つの新製品」の普及も期待できます。もともと官需が下半期に偏重するうえに、前期の上半期は新型コロナ禍の影響を大きく受けて赤字となっています。しかし、下半期にはかなり回復してきており、黒字転換、今期はさらなる回復が期待できそうです。

予想配当り利回り2%超、1,000株で2万円相当のポイントがもらえる株主優待を合わせると約5%の利回りになりますから、配当・株主優待を貰いながらじっくりと中長期投資で狙いたい企業です。

藤本誠之(ふじもとのぶゆき)=ラジオNIKKEIなど各種メディアでおなじみの証券アナリスト。財産ネット企業調査部長。阪神タイガースファン。オールアバウト株式ガイド。

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