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その他2026年10月8日

今週のAIチャート分析 ─電気機器に集中した「買われ過ぎ」─

このコラムでは毎週、東証に上場する全銘柄の値動きをAIが点検し、行き過ぎを示す指標がそろって振り切れた銘柄を探している。点灯した銘柄が特定の業種や市場に偏っていれば、それを今週の主題として取り上げる。書くのは計算で確かめられる事実だけで、売買の判断は示さない。

データ基準日:2026年10月6日(この日の終値までの情報のみを使用)
※20営業日前比(=20営業日前の終値との比較)、過去20営業日平均比(=過去20営業日の平均との比較)

今週の要点

・日経平均は 70,683.98円。5営業日で +7.95%、20営業日で +10.07% 動いた。
・ただし20営業日で値上がりした銘柄は全体の 39.9%、日経平均を上回ったのは 11.0% だった。
・東証の 3,643銘柄を分析し、売買代金が1日平均 1億円 以上の 1,609銘柄 のうち 76銘柄 で行き過ぎを示す指標が点灯した。
・点灯は電気機器に偏っていた。候補 143銘柄のうち 17銘柄 で、全体の 2.5倍 の比率にあたる。方向はすべて買われ過ぎだった。
・本稿はそのうち 4銘柄と、比較のために点灯していないキオクシアホールディングス(285A・P)を取り上げる。
・「ボリンジャーバンドの上限付近に達すると反転しやすい」という見方を、取り上げた銘柄の過去の値動きで確認した。反転した割合と、どの日から数えても同じ方向に動いた割合との差は、最大で 3.6ポイント だった(第5節)。

【1. 市場全体の動き】

日経平均は 20営業日前と比べて +10.07% 上昇した。売買は一部の銘柄に集中している。

分析した全銘柄の売買代金(20営業日平均)に占める割合の上位は次のとおり。

銘柄 コード 売買代金の占有率 20営業日の騰落率 日経平均との差
キオクシアHD 285A 15.34% △8.78% ▼1.29pt
ソフトバンクG 9984 5.38% △25.87% △15.80pt
アドバンテスト 6857 4.54% △29.65% △19.58pt
太陽誘電 6976 3.14% △25.72% △15.65pt
フジクラ 5803 2.13% △18.26% △8.19pt

上位5銘柄で全体の 30.5% を占める。「日経平均との差」は同じ20営業日の騰落率の差で、正の値は日経平均より値上がりしたことを示す。

20営業日の騰落率を計算できた 3,643銘柄 のうち、値上がりしたのは 1,453銘柄(39.9%)、日経平均を上回ったのは 400銘柄(11.0%) だった。売買代金の下限を問わず全銘柄で見ると、行き過ぎの点灯は買われ過ぎ 74 に対して売られ過ぎも 65 あった。指数の値動きと、個々の銘柄の値動きには開きがある。

【2. 今週目立った動き】

電気機器に点灯が集中した。候補 143銘柄のうち 17銘柄 が点灯し、点灯率は 11.9%。全体の 4.7% の 2.5倍 にあたる。
電気機器は分析した全銘柄の売買代金の 40.3% を占めており、今週の売買の中心でもある。

26業種 を比べて最も偏っていた業種で、偶然にこの偏りが出る確率は 0.0005 を下回る(多くの業種を比べたことを考慮した基準は 0.0019)。
点灯した 17銘柄 の直近2営業日の騰落率は平均 +6.7%(+1.6%〜+13.4%) だった。

基準日までの主な開示・報道

(値動きとの因果は検証しておらず、主張しない)

・2026-09-29 TDK — 太陽誘電が、TDKとの業務提携に関する基本合意書の締結を開示した。積層セラミックコンデンサなどの電子部品の共同開発が中心で、将来的な資本提携の可能性も検討するとしている

・2026-10-02 アドバンテスト — 株価が株式分割を考慮した上場来の高値を付けたと日本経済新聞が報じた。記事は、米マイクロン・テクノロジーの決算発表と、信用取引の売り方による買い戻しを挙げている

・2026-10-06 TDK — CLSA証券が投資判断を引き上げ、同社の事業の買収をめぐる報道もあったと日本経済新聞が報じた

上記はTDKとアドバンテストに関するものである。フォスター電機・図研・キオクシアホールディングスについては、基準日までの開示や報道を本稿では確認できていない。

【3. 銘柄別の分析】

銘柄 コード 終値 RSI %B 20営業日の騰落率 日経平均との差 長期トレンド 評価
フォスター電機 6794 3515円 76.6 1.06 △18.1% △8.0pt 長期上昇 強気
TDK 6762 3628円 76.3 1.24 △28.1% △18.0pt 長期上昇 強気
図研 6947 5530円 75.6 1.01 △11.3% △1.2pt 長期上昇 強気
アドバンテスト 6857 41,850円 74.5 1.12 △29.6% △19.6pt 長期上昇 強気
キオクシアHD 285A 18,735円 53.0 0.62 △8.8% ▼1.3pt 長期上昇 強気

RSI は 70 超、%B は 1 超が買われ過ぎ、RSI 30 未満・%B 0 未満が売られ過ぎの目安。(詳細は【6. 指標の見方】参照)

 

なお、各銘柄における【次に見るべき水準】の「距離」は基準日の終値からの差。どちらの水準に先に届くかを予測するものではない。

見方が変わる水準に最も近いのはキオクシアHD(0.8%下)、最も遠いのはアドバンテスト(20.0%下) である。

フォスター電機(プライム・電気機器)

フォスター電機

買われ過ぎが点灯している。長期トレンドは長期上昇で、200日の指数移動平均(EMA200)を 22.9% 上回る。半年前(120営業日前)と比べると +1.6%。直近の出来高は20営業日平均の 1.61倍、売買代金の占有率は 0.005%。

 

中期の目安となる50日の指数移動平均(EMA50)を 14.0% 上回り、中期上昇と判定した。52週高値まで 0.8% の位置にある。現在値に最も近い水準は、下は 3,473.5円(ボリンジャー上限(+2σ))、上は 3,545円(20日高値・52週高値)。

 

評価: 強気(短期は過熱)

 

・短期の行き過ぎは、終値が 3,473.5円(ボリンジャー上限(+2σ)) を下回れば解消する。トレンドの見方が変わるわけではない。

・この見方が無効になる条件: 終値が 3,082.6円(EMA50)を2営業日連続で下回った場合、この見方は無効。

【次に見るべき水準】
行き過ぎが解消する水準 3,473.5円/見方が変わる水準 3,082.6円(EMA50)/距離 ▼12.3%

TDK(プライム・電気機器)

TDK

買われ過ぎが点灯している。長期トレンドは長期上昇で、200日の指数移動平均(EMA200)を 27.9% 上回る。半年前(120営業日前)と比べると +64.9%。直近の出来高は20営業日平均の 2.72倍、売買代金の占有率は 0.429%。

 

中期の目安となる50日の指数移動平均(EMA50)を 18.2% 上回り、中期上昇と判定した。52週高値まで 15.9% の位置にある。現在値に最も近い水準は、下は 3,418.6円(ボリンジャー上限(+2σ))、上は 3,698円(20日高値)。この銘柄に関する開示・報道は第2節に挙げた。

 

評価: 強気(短期は過熱)

 

・短期の行き過ぎは、終値が 3,418.6円(ボリンジャー上限(+2σ)) を下回れば解消する。トレンドの見方が変わるわけではない。

・この見方が無効になる条件: 終値が 3,069.6円(EMA50)を2営業日連続で下回った場合、この見方は無効。

【次に見るべき水準】
行き過ぎが解消する水準 3,418.6円/見方が変わる水準 3,069.6円(EMA50)/距離 ▼15.4%

図研(プライム・電気機器)

図研

買われ過ぎが点灯している。長期トレンドは長期上昇で、200日の指数移動平均(EMA200)を 15.5% 上回る。半年前(120営業日前)と比べると +21.1%。直近の出来高は20営業日平均の 0.85倍、売買代金の占有率は 0.005%。

 

中期の目安となる50日の指数移動平均(EMA50)を 11.3% 上回り、中期上昇と判定した。52週高値まで 0.4% の位置にある。現在値に最も近い水準は、下は 5,515.9円(ボリンジャー上限(+2σ))、上は 5,550円(20日高値・52週高値)。

 

評価: 強気(短期は過熱)

 

・短期の行き過ぎは、終値が 5,515.9円(ボリンジャー上限(+2σ)) を下回れば解消する。トレンドの見方が変わるわけではない。

・この見方が無効になる条件: 終値が 4,966.7円(EMA50)を2営業日連続で下回った場合、この見方は無効。

【次に見るべき水準】
行き過ぎが解消する水準 5,515.9円/見方が変わる水準 4,966.7円(EMA50)/距離 ▼10.2%

アドバンテスト(プライム・電気機器)

アドバンテスト

買われ過ぎが点灯している。長期トレンドは長期上昇で、200日の指数移動平均(EMA200)を 51.3% 上回る。半年前(120営業日前)と比べると +65.9%。直近の出来高は20営業日平均の 1.47倍、売買代金の占有率は 4.536%。

 

中期の目安となる50日の指数移動平均(EMA50)を 25.0% 上回り、中期上昇と判定した。52週高値まで 0.1% の位置にある。現在値に最も近い水準は、下は 40,339.9円(ボリンジャー上限(+2σ))、上は 41,900円(20日高値・52週高値)。この銘柄に関する開示・報道は第2節に挙げた。

 

評価: 強気(短期は過熱)

 

・短期の行き過ぎは、終値が 40,339.9円(ボリンジャー上限(+2σ)) を下回れば解消する。トレンドの見方が変わるわけではない。

・この見方が無効になる条件: 終値が 33,478.9円(EMA50)を2営業日連続で下回った場合、この見方は無効。

【次に見るべき水準】
行き過ぎが解消する水準 40,339.9円/見方が変わる水準 33,478.9円(EMA50)/距離 ▼20.0%

キオクシアHD(プライム・電気機器)

キオクシアHD

業種内で売買代金が最も大きいが、点灯していない。長期トレンドは長期上昇で、200日の指数移動平均(EMA200)を 25.4% 上回る。半年前(120営業日前)と比べると +103.6%。直近の出来高は20営業日平均の 0.46倍、売買代金の占有率は 15.343%。

 

中期の目安となる50日の指数移動平均(EMA50)を 0.8% 上回り、中期は方向感なしと判定した。52週高値まで 50.1% の位置にある。現在値に最も近い水準は、下は 18,582.9円(EMA50)、上は 20,083.4円(ボリンジャー上限(+2σ))。

 

評価: 強気

 

・この見方が無効になる条件: 終値が 18,582.9円(EMA50)を2営業日連続で下回った場合、この見方は無効。

【次に見るべき水準】
見方が変わる水準 18,582.9円(EMA50)/距離 ▼0.8%

【4. ボリンジャーバンドの確認】

「ボリンジャーバンドの上限付近(%B 0.9 前後)に達すると反転しやすい」という見方を、取り上げた銘柄の過去の値動きで確かめた。%B が閾値を越えた日に、5営業日後に反対方向へ動いていた割合を数え、どの日から数えても同じ方向に動いた割合(普段の割合)と並べる。

 

・フォスター電機(%B 0.9):閾値を越えた回数 120回/5営業日後に反転 51.7%/普段の割合 48.1%/差 +3.6pt

・TDK(%B 0.9):閾値を越えた回数 148回/5営業日後に反転 45.3%/普段の割合 44.8%/差 +0.5pt

・図研(%B 0.9):閾値を越えた回数 125回/5営業日後に反転 48.0%/普段の割合 46.4%/差 +1.6pt

・アドバンテスト(%B 0.9):閾値を越えた回数 142回/5営業日後に反転 41.5%/普段の割合 43.4%/差 -1.9pt

 

確認した 4銘柄 のうち、反転の割合が普段の割合を上回ったのは 3銘柄、下回ったのは 1銘柄 だった。差はいずれも5ポイント未満だった。

集計期間は 2016年以降。過去の集計であり、今回も同じ動きになることを示すものではない。

【5. 今週のまとめ:見ておきたいこと】

・指数と個別の銘柄は分けて見る。日経平均は20営業日で +10.07% 動いたが、同じ期間に値上がりした銘柄は全体の 39.9% だった。関心のある銘柄の動きは、日経平均との差で確かめられる。

・短期の行き過ぎが解消する水準は、現在値の 0.3%〜5.8% 下にある(第4節)。終値がその水準を下回るかどうかが、行き過ぎが収まったかを見る一つの目安になる。

・見方そのものが変わるのは、終値がEMA50を2営業日続けて下回ったとき。その水準は現在値から 0.8%〜20.0% 離れている。行き過ぎが収まることと、トレンドの見方が変わることは別である。

・「ボリンジャーバンドの上限に達したら反転する」は、取り上げた銘柄の過去では確かめられなかった(第5節)。上限に達したことだけを理由に反転を見込むのは、この結果とは合わない。

 

本稿は売買の判断を示さない。上の水準は、ご自身で判断するための材料として使っていただきたい。

【6. 指標の見方】

・RSI — 一定期間(本稿は14営業日)の値上がり幅と値下がり幅の比率から、買われ過ぎ・売られ過ぎを0〜100で表す。

・ストキャスティクス — 直近の高値と安値の幅の中で、いまの株価がどの位置にあるかを0〜100で表す。

・ボリンジャーバンドと%B — 20営業日の移動平均の上下に、値動きのばらつき(標準偏差)の2倍の帯を引いたもの。%B は帯の中での位置で、帯の上限ちょうどが1、下限ちょうどが0。1を超えると帯の上に飛び出している。

・移動平均(EMA) — 過去の終値の平均で、直近の値ほど重く扱う。本稿は50日(中期)と200日(長期)を使い、株価がその上にあるか下にあるか、平均そのものが上向きか下向きかでトレンドを判定する。

・3つの指標の関係 — RSI・ストキャスティクス・%B は、いずれも値動きの行き過ぎを測る指標で、互いに強く連動する(当研究室の測定では RSI と直近1ヶ月の騰落率の順位相関は -0.89)。本稿は3つがそろって振り切れた銘柄だけを「点灯」としている。確度を上げるためではなく、境界付近の銘柄を除くためである。

・長期トレンド — 終値と200日の指数移動平均(EMA200)の位置と、その傾きで判定している。評価(強気・中立・弱気)はこれで決める。

・日経平均との差 — 同じ期間の騰落率の差(ポイント)。

・売買代金の占有率 — 分析した全銘柄の売買代金の合計に対する、その銘柄の割合。

【7. リスクと留意点】

・数値はすべて日足の終値から算出しており、日中の値動きは考慮していない。上場廃止となった銘柄は含まれていない。

・当研究室の検証では、テクニカル指標による銘柄の順位付けはベンチマークを 7.4% 下回った。指標の点灯は収益を予測するものではない。

・逆張りの傾向は測定できているが、その優位は売買コストで消える水準であり、短期売買の根拠にはならない。

・点灯は編集上の注目度の目安であり、収益を予測する検証済みの指標ではない。当研究室の検証では、この種の指標による銘柄の順位付けは、でたらめに選ぶのと区別がつかなかった。

 

点灯した全銘柄(電気機器・17銘柄): フォスター電機(6794・P)(RSI 76.6)、TDK(6762・P)(RSI 76.3)、図研(6947・P)(RSI 75.6)、アドバンテスト(6857・P)(RSI 74.5)、日本航空電子工業(6807・P)(RSI 73.9)、精工技研(6834・S)(RSI 73.8)、IDEC(6652・P)(RSI 73.6)、山一電機(6941・P)(RSI 73.4)、santec Holdings(6777・S)(RSI 73.4)、富士電機(6504・P)(RSI 72.6)、SCREENホールディングス(7735・P)(RSI 72.6)、指月電機製作所(6994・S)(RSI 72.3)、堀場製作所(6856・P)(RSI 72.0)、OBARA GROUP(6877・S)(RSI 71.9)、ルネサスエレクトロニクス(6723・P)(RSI 70.6)、イノテック(9880・P)(RSI 70.4)、鈴木(6785・P)(RSI 70.0)。掲載していない銘柄も同じ条件を満たしている。

 

本稿は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。