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IPO2026年4月28日

IPO社長会見 梅乃宿酒造 海外は5倍、10倍になる可能性十分

梅乃宿酒造(559A)が4月24日、東証スタンダードに上場。公開価格を50%上回る900円で初値を付けた。同社は奈良の酒造メーカー。「梅乃宿の梅酒」「あらごしシリーズ」など日本酒仕込みのリキュールで知られる。上場当日の記者会見で五代目蔵元、吉田佳代代表取締役社長=写真=が語った内容は次の通り。

常に新参者の気持ちで

今年で創業134年になる酒蔵。日本酒業界は200年、300年が普通。業界では非常に若いと言われ、昔から常に新参者の気持ちで新しいことにチャレンジすることをモットーにしてきた。梅乃宿の名前は蔵の庭に樹齢300年を超える梅の古木があり、そこに毎年春になるとウグイスがやってくることに由来する。日本酒はここ50年近くシュリンクしている業界だが、当社はここ数年、売り上げ成長率平均が10%を超えている。

海外比率は足元30%に上昇

今も日本酒を造っているが、30年弱前から日本酒をベースにした梅酒や桃・柚子・みかんといった果実をふんだんに使ったお酒、まるでフルーツをそのまま食べているような感覚になるリキュールを得意としている。最近はフルーツを使ったノンアルコールの商材、例えばフルーツの食感を感じられるようなドレッシングなど食品にも一部進出している。国内もまだまだ伸びる余地があるが、国内以上に楽しみなのが海外。海外輸出は30年近く前に開始。現在はアジア、北米、欧州、オセアニアなどの24カ国・地域以上に出荷している。中国は日中関係などの影響で最近厳しいが、他のアジア圏や北米、空港の免税店が非常に好調。足元の海外売り上げ比率は30%に高まっている。フルーツを使っているため、海外の方々にもおいしさが理解しやすく、海外はそれこそ倍どころか5倍、10倍になる可能性が十分にあると確信している。

地酒蔵と大手酒類メーカーのいいとこ取り、ユニークな市場ポジション

地酒蔵のクラフト感、ブランド力を持つと同時に、大手酒類メーカーレベルの品質管理や納期順守、安定供給によりビジネスパートナーとして信頼され、地酒蔵と大手酒造メーカーの“いいとこ取り”している非常にユニークな市場ポジションにある。結果、果実を使ったリキュール市場シェアは16.7%とかなり高い。

成長戦略

国内外の既存得意先の深掘りは当然ながら、まだまだ出荷をしていないお客さまがあり、国内外で新しい取引先を見付けていく。活況を呈しているインバウンド市場もより力を入れていく。海外で特に注力したい地域は市場の大きいアメリカ、中国、インド。インドは人口増加に加え、女性もお酒を飲むようになってきており、非常に伸びていくとみている。中長期的には新規領域への進出も検討。特に既存事業とシナジーのある食品領域には進出したい。また、より付加価値のあるプレミアムラインの商品拡充、健康志向のお客さま向け商品、ジンやウォッカなど蒸留酒にも進出し、新しい酒文化を広げていきたい。

総還元性向50%

株主還元は総還元性向50%方針。内訳は配当性向40%、自社株買い10%を想定している。株主優待にも非常に力を入れている。例えばEC(電子商取引)の利用券、株主限定の日本酒、株主限定の蔵見学。できれば私が直接、蔵を案内できればと考えている。上場で期待する効果としては、弊社は奈良県の田舎にあり、人材獲得で難しさを感じているため、上場により皆さんが安心して働ける、応募いただけるような会社になることが一つ。今後海外をより攻めていく中、上場による信頼感の向上効果も非常に期待している。

成長を見据え、既に用地確保

2022年に新しい蔵(=第1蔵)が稼働し、明らかに製造が効率化した。新蔵は売上高50億円程度(前期売上高は26億円)まで余裕をもって造れる規模。売上高50億円超が見えるころには次の蔵(=第2蔵)を稼働させないといけない。“第2蔵”の用地は取得済み。売り上げが順調に伸びており、できれば5年後ぐらいには第2蔵を稼働させたい。第2蔵の用地面積は“第1蔵”と同程度だが、設備は“第1蔵”よりもスピーディーに瓶詰めできるものを想定。製造キャパシティとしては第1蔵の1.5倍は目指したい。

みんながハッピーになる好循環

後発組ですので他社と違う新しいことをして生き残ってきた部分が非常に強く、そのDNAが脈々と受け継がれている。日本酒仕込みのリキュールもそうだし、海外展開もかなり早かった。今回の上場もそう。酒蔵、老舗でもこうした形をとれるという一つの形を示したことは非常に意義のあることと考えている。弊社の商品は手前みそだが、本当においしく、笑顔になる。たくさんの売り上げが上がるということは、たくさんの笑顔をつくれるということと思っておりますので、日本だけでなく、海外でももっともっと知っていただきたい。こうした意味でも売り上げをしっかり伸ばしていきたい。利益に関しては私たちがこの1年間にどれだけ頑張れたかという点数と捉えている。しっかり利益を上げていくことを強い想いとして持っており、利益をしっかり株主に還元することがより良い循環を生むと考えている。こうした形でいろいろな部分でみんながハッピーになれればと考えている。(Q)

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