医療、半導体などへ需要が拡大、17年連続の増配へ
企業理念
中堅化学メーカーとして、模倣困難な独創技術に基づき自動車のエンジン周辺部品や低燃費タイヤに使われる各種合成ゴム、リチウムイオン電池用バインダー、高機能樹脂など高付加価値素材の開発製造に注力している。社名は大地(ゼオ)と永遠(エオン)からなる合成語に由来。企業理念として掲げた「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」は、独創的な技術、製品、サービスを通じて「持続可能な地球」と「安心で快適な人々のくらし」に貢献することを意味している。1959年に民間企業として日本で初めて合成ゴムの生産を開始。神奈川県川崎市の工場では今もその製造ラインが現役で稼働している。
合成ゴム領域
生産拠点は国内5、米国3、タイ、シンガポール各1の計10拠点。汎用(はんよう)ゴム(低燃費タイヤ用SSBRに強み)は、 氷上性能を高める軟質の冬用タイヤ専用ゴムを昨年上市。特殊ゴム(耐油・耐熱。エンジン周り、タイミングベルトなど高強度部位)は世界トップメーカーの一つ。EV(電気自動車)時代の影響としてエンジン周辺部品用が減少したとしても、リチウムイオン電池用バインダーとしてもゼオンの合成ゴムが使用されるため、ICE/EV/PHEVいずれの構成でも総需要は堅調見通し。原料調達や供給面で ブタジエン自製能力(山口県周南、出光とのパイプライン接続)がありスポット価格急騰局面の調達耐性が高い。
リチウムイオン電池用バインダー領域
合成、分散技術を活用し電池用バインダー参入を先行。評価、解析機能が高い。今年、川崎に共創イノベーション施設開設予定。 EV市場は欧州(独・仏)で2024年に補助金停止、続いて米国政策転換で大型EV需要を中心に減速したものの、ESS(蓄電池)は AIデータセンター向け電力の平準化、安定供給ニーズで需要が急成長、小型EV需要も期待が高まる。
高機能樹脂と光学フィルム 領域
ゼオンは樹脂のままの販売と、加工して光学フィルムとして販売の2つのビジネスモデルを展開。 売上比約20%ながら、全社営業利益の半分近くを稼ぐ。利益成長は右肩上がり。 医療向けとして低吸水・低不純物でタンパク質の吸着がなく、細胞培養プレート向けなどでも採用拡大。 半導体向けでは回路の微細化に伴い極めて高レベルなクリーン環境が必須。余分なガスが発生しないキャリア容器の需要が堅調に伸びる。
光学フィルムは、大型テレビでのムラ抑制に圧倒的優位。画面サイズの大型化に伴い需要拡大。
設備投資として山口県周南市に新プラントを建設中(投資額約780億円)。
株主還元
配当方針をDOE(自己資本配当率)4%以上とし、利益変動に左右されない安定配当を志向。 自社株式取得を25年に100億円実施済みで、26年も同額を実施予定。15期連続の増配実績、かつ最新のIR(投資家向け広報)情報で配当は25年度76円、26年度79円の予想であり、17期連続増配見込み。成長投資強化と安定・高水準の還元を両立。

