病院、調剤薬局に強み、M&Aで製造業分野へ布石
保守サービス、ソリューション、人材サービスの3事業を柱に、全国60超の拠点で24時間365日、エンジニアが機器の保守、導入設計などのサービスを展開する。医療分野に強みを有し、全国に11万以上ある医院、調剤薬局向けの保守サービスでは圧倒的なシェアを誇る。前期は官公庁の大型案件を受注するなど勢いがあり2ケタの増収増益で過去最高を更新した。政府は医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を重要施策に掲げておりSHINKOには追い風となっている。今後の戦略を会長兼社長の福留泰蔵氏に聞いた。
――主力の保守サービスの現状はいかがですか。
福留 全国の病院、クリニックに導入されているウィーメックス社製のレセプトコンピュータ(診療報酬明細書発行システム)や電子カルテ、調剤薬局に導入されている電子薬歴システムなどの保守を長年手掛け、レセプトのオンライン申請の接続作業も行ってきた。 病院、調剤薬局向けの保守サービスでは3万6,000件以上の顧客がおり、圧倒的なシェアがある。
今、政府は医療情報を共通インフラで扱う方針を示しており、クラウド型電子カルテの普及や電子処方箋の導入を推進している。長年オンプレミスの保守を担ってきた当社にとっては事業環境が大きく変わることになる。ウィーメックス社もクラウド型サービスを用意しており、クラウド型電子カルテの利用に必要なネットワーク環境の設計、構築、整備などの業務は今後増加する可能性もある。従来の取引先に加え、成長するクラウド型電子カルテメーカーとも協業し、クラウド関連の事業領域を拡大する必要がある。
――人材サービス事業の現状と人材採用については。
福留 IT機器の保守、点検、修理を行うCE(カスタマエンジニア)やSEを派遣している。他の事業と比べて規模は小さいが、新たな案件開拓の鍵となる事業である。収益性も重要で、派遣先ごとに単価を見直して高単価の案件へ人員をローテーションしている。 人材の需給については、今年に入り状況が急激に変化した。SIerでは、AIの活用によりSEやプログラム作成業務が減少しているとの話があり、今後の需要状況は注視していく。
人材サービス・請負等の人員はトータルで250名超。全社の従業員は約900名で、毎年、新卒約70名、中途約30名を採用し、年間約100名を新たに受け入れており、必要人数は確保できている。
――ソリューション事業は競合が多いですが。
福留 医療機関から官公庁まで幅広い顧客にITCサービスを提供しており、前期から今期にかけてはデジタル庁が推進するDXもあり、官公庁の入札案件を数多く獲得できた。保守サービス、人材サービスとのシナジーで価値が高まり新規顧客獲得などの成果が生まれている。
――中期経営計画の最終年度ですが、目標達成は可能ですか。
福留 中計策定時には想定していなかったデジタル庁関連の案件を獲得できて大幅に上振れし、前年度時点で今年度の売上高計画を上回り、今年度もさらに上回る計画。 次期中計では入札案件などによる一時的な上振れを前提にせず、その反動も考慮しながら、3年間を通じて安定した成長を目指したいと考えている。
――CAD設計システムの販売やコンサルティングを行うTAC社を7月に子会社した理由は。
福留 当社にとっては初のM&A。事業環境の変化に対応して新たな成長の柱を作ることが必要だったが、自社だけでは難しいためM&Aを活用した。TAC社は3D CADの導入やコンサルを手掛け、主な顧客は製造業関連。当社にとって接点が少ない分野へ進出する足掛かりとして期待している。
※速報版は最終的な校了前の紙面記事です。今後、修正等が入る場合があります。

