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IPO2023年12月11日

IPO社長会見 アスマーク 世界で名の通ったリサーチ会社を目指す

アスマーク(4197)が12月4日、東証スタンダードに新規上場した。同社は消費者パネルを活用したマーケティング・リサーチ事業を展開。初値は公開価格を6.52%下回る2,150円だった。上場当日の記者会見で町田正一代表取締役=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

4つの強みで安定成長……もともと私が1999年に東急田園都市線の地域に絞ったオンラインコミュニティ、インターネット上のサークルを立ち上げたのがきっかけで、そこの会員を母体に2001年にマーケティングリサーチを始めた。強みはクライアントの基盤とリサーチのプロ人材、プロダクト、101万人のパネルの4つ。過去10年間の年平均成長率は13%となっていて、20年はコロナで売り上げを落としたものの、それ以降はさらに成長スピードを上げてV字回復している。

成長戦略4つの柱……ずっと国内を中心にやってきたが、上場を目指す数年前から事業を4つの柱にしている。2つ目のグローバルリサーチでは外国人スタッフを増員し、世界の取り引きを積極的に増やしている。上場を機に世界で名の通ったリサーチ会社を目指す。3つ目のDX(デジタルトランスフォーメーション)・リサーチソリューションでは、オンラインでインタビューをする、チャットでインタビューをするなどマーケティングリサーチの独自のツールを開発している。今後は月額課金で売上高を上げてくるような、そういうツールの開発に力を入れていく。4つ目のHRテック、こちらは今一番成長しているビジネスだが、マーケティングリサーチをベースに企業の人事部向けに提供している。前の期で約1億円、今期は2億5,000万円とどんどん伸びており、今後も会社の成長を支えていく。

ゆくゆくは海外が牽引役に……世界のマーケティングリサーチ市場は非常に大きく、国内市場の10倍となる約2兆円の市場がある。足元では海外のクライアントやパートナー、いわゆる世界のマーケティングリサーチ会社の開拓を進めており、48カ国の現地のリサーチ会社とネットワークを組んでいる。前期は弊社の売上高約40億円のうち4億円がグローバル売り上げ。これを10億、20億と伸ばしていく。今後間違いなく弊社の売り上げの中心は世界の取り引きになっていくと思うので、ここを急いでいる。

独自色を追求……HRテックは参入する時にも多くの方にしんどい市場なんじゃないかと言われたが、われわれはもともとマーケティングリサーチで培ったノウハウをベースにこの業界に参入しているので、最初は従業員満足度調査、もう1つがハラスメントに関する調査とコンサルテーション、その2本柱でまずHR業界に入った。同業者が参入してくるHRのサービスは、採用に関するものや社内での人事評価制度などほぼ決まっている。そこに行くとレッドオーシャンなので、(例えば独自の在籍管理ツールなど)われわれは自社がシェアを有利に獲れる部分を探して、1つずつシェアを獲っている。

業界で最もチャレンジングな会社に……今まで以上にわれわれはチャレンジングに、とにかく他社がやらないビジネスにどんどん挑み、独自の路線で強みを出して新たな市場を切り開いていきたい。4つの事業をくまなく伸ばし、できるだけ早く売り上げ100億円に到達したいと思っている。外に出していた仕事をどんどん内製化するべく、直近決算では人員を厚めに採用した。これまでは売り上げが伸びると人件費と外注費が両方増えていたが、今後は売り上げの伸びに比べて固定費ができるだけ増えないような、利益率を毎年上げていけるような方向で考えている。株主還元についてはこれまで無配だったが、今期から配当を出していく予定で、1月の決算発表の時にそれをお示しできると思う。(SS)

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