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コラム2020年6月12日

【本日のマーケット】6月12日(金)

6月12日(金)のマーケット                                                                   

本日の東京市場は続落。メジャーSQとなった本日は、前日のNY市場が1861ドル(6.9%)安と今年4番目の下落率となったことから、大きくキャップダウンでのスタート。米国でのコロナ感染者が200万人を超え感染第2波が警戒され、為替も106円台と円高推移となったことで、全面安となり一時は685円安の2万1786円まで下落。しかし下値では200日移動平均線(2万1741円)が意識され、底割れすることなく戻しを試しました。後場からは日銀のETF買いも観測され下げ幅を縮める展開に。NY市場に先行して昨日大幅調整していただけに、日経平均は167円安と本日の高値圏での大引けとなりました。注目のSQ値は2万2071円。大引けでSQ値を上回っているだけに大きく調整を迎えるという雰囲気はありません。短期で大きく上昇を見せていただけに自律調整の範囲内と見られます。

新興市場では、JASDAQ平均が続落。テラが週刊誌の報道で売られストップ安。山王はストップ高。レカムもウィルス除去装置の海外7カ国での販売権取得を好感してストップ高。日本マクドナルドホールディングスは6130円の高値引けで連日の年初来高値更新です。マザーズ指数も続落。カイオムバイオ、UUUMが下落。一方、すららネットが1:5の株式分割を発表して大幅高。イノベーションは11連騰。AIinsideは岩井コスモ証券のレーティングを材料視して買われました。

チャート上では下ヒゲを伴う陽線を引き、200日移動平均線で踏みとどまった形。3月安値から6月8日の戻り高値2万3178円まで6,600円幅(上昇率約40%)の上昇の後だけに、スピード調整の範囲内。現時点ではトレンド転換とは見られない。

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★☆★ 《特別寄稿》鈴木一之 スズカズ・アイ ★☆★
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鈴木一之です。世界銀行、OECD(経済協力開発機構)が定期の世界経済見通しを明らかにしました。

世界銀行は2020年の世界の成長率が▲5.2%に落ち込むとの見方を示しました。1月時点の予想から▲7.7ポイントも引き下げています。戦後最大の落ち込みとなります。

同様にOECDは、2020年の世界経済が▲7.6%まで減少するとの予想しました。IMF(国際通貨基金)はすでに4月に今年の成長率見通しを▲3.0%と発表しており、これで3つの国際機関のエコノミスト予想がすべて出そろった形となります。

市場では発表直後にはほとんど無反応でしたが、時間が経つにつれFOMCの結果と合わせて、じわじわと弱めの見方が効いてきました。

そして現地水曜日のFOMC。続くパウエル議長の記者会見です。まずFOMCでは、少なくとも2年後の2022年末まで、現在のゼロ金利を継続する方針が明らかにされました。それほどの長期にわたってゼロ金利を続ける方針が決定されました。

米国は追加の経済対策を含めて4兆ドルの財政支出を決定したばかりです。日本も200兆円を越える規模の経済対策を組み、EUでもドイツが財政支出に踏み切るように、各国とも巨額の財政支援を講じたところです。財政拡大に対する懸念はつきまといますが、それでも経済の再開を好感して、世界同時株高の様相を強めていたところです。

OECDのように、複数のシナリオで未来を描いているところが多いのですが、世界の主要国があれほど大胆な経済対策を用意しても、今年中にプラス成長に浮上することはないという事実が残ります。逆に感染の再拡大があれば、来年の浮上すらむずかしい、経済の落ち込みはかなりの長期にわたる点が改めて浮き彫りになったのです。

楽観的な見方に水を差す形となり、週末にかけてロングポジションの巻き戻しが強まっている可能性があります。その上で来週は再び「感染第2波に備えた相場」に戻ってゆくことになりそうです。

2週間前から戻り歩調に入っていた自動車、機械、鉄鋼、非鉄、海運などの景気敏感・連動銘柄が一斉に下落し、代わってごく短い日柄調整にあったDX関連株、IT・ネット系銘柄が再び人気の中心に戻ってきました。底入れ反転の時期はこのような「行ったり来たり」の繰り返しです。捲土重来。景気敏感株は再び下値を固めて、次なる上昇トライの時期を探すことになりそうです。

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【下げ渋りの背景に日銀ETF買い? 日経平均685円安→167円安】
日本証券新聞6月15日(月)紙面1面TOP記事掲載 

ニッセイ基礎研究所 井出真吾チーフ株式ストラテジストに聞く

11日のニューヨークダウ1,861.82ドル安の衝撃を受け、朝方685.98円安まで売られた12日の日経平均。売り一巡後は急速に下げ渋り、結局167.43円安で引けた。時間外取引のニューヨークダウ先物の戻りが安心感を誘ったほか、市場では「日銀のETF(上場投信)買いが入るとの観測が需給の支えになった」との指摘も聞かれた。日銀ETF買い入れといえば、11日(日経平均652.04円安)に「19営業日ぶりの出動」として話題を読んだばかり。この分野に詳しいニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジスト(写真)に話を聞いた。

――前回の5月15日からは随分と間が空いた。

「本格的な下げが久しぶりだっためだ。最近は、『前場TOPIX下落率0.5%以上』が実施基準となっている。おそらくは相場の水準やリスクプレミアム(株式益回りから10年物国債利回りを差し引いて求めるものが一般的)の状況によって、『0.3%』や『0.2%』などと微調整しているのではないか」

――12日の市場の落ち着きからは日銀の対応が功を奏したようだが。

「11日も12日も、現在の株価水準での買い入れは不要だ。欧米金融当局者は株価急落についてコメントも出していない。市場機能に任せるべきだからだ。急落して始まった12日の相場が急速に持ち直したのは(なかには日銀買いに先回りした動きもあろうが)、押し目買いをしようと手ぐすね引いて待つ個人投資家がたくさんいたからだ。そうした向きの買い場を邪魔してはいけない」

・・・続きは紙面・Digital版で!

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今日の市況概況
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6月12日(金)☆[概況/大引け] 

日経平均は朝方685円安となったが、終値は167円安。200日線が下支えし、時間外NYダウ先物上昇で下げ幅縮小

大引けの日経平均は22,305.48円の167.43円安、TOPIXは1,570.68ポイントの18.24ポイント安。東証1部の値上がり銘柄数は241、値下がり銘柄数は1,899。出来高は19億416万株、売買代金は3兆3,246億円。
米国で経済活動再開と大規模デモが新型コロナウイルス感染第2波を招くと警戒され、11日のNYダウは1,861ドル安の25,128ドルと急落した。
12日の日経平均は朝方21,786円(685円安)まで売られたが、200日移動平均線(21,741円)が下支え要因となり、時間外取引のNYダウ先物の上昇も手伝い、下げ幅を縮めた。

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