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IPO2023年1月20日

IPO社長会見 ダイワ通信 ニーズをいち早く捉え、新商品を迅速に提供

ダイワ通信(7116)が2022年12月26日、東証スタンダードに新規上場した。防犯カメラを取り扱うセキュリティ事業とソフトバンクショップを運営するモバイル事業を展開している。初値は公開価格を4.71%下回る1,620円。上場当日の記者会見で岩本秀成代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

これまでの歩み……1996年に創業し、モバイル事業からスタート。その後、2014年に現在の成長事業であるセキュリティ事業を取得し、18年にセキュリティー商材の卸売業であるディーズセキュリティ、19年にはアクト通信を子会社化した。セキュリティ事業における商品仕入れ機能と工事施工機能の強化、そして防犯カメラの提供に加えて、AIを活用したセキュリティーソリューションへの領域拡大にも取り組んできた。その取り組みの一例として、20年3月にリリースしたAI温度測定機能付顔認証デバイスの「FACE FOUR」は、AIを利用し、非接触で体温測定ができる顔認証端末。新型コロナウイルスが拡大し始めた第一波の時点の検温需要に応えるために、他社に先駆けていち早く市場に投入した結果、大きなシェアを確保することができた。

業績推移……売上高構成比は22年3月期実績でセキュリティ事業が56%、モバイル事業が43%。営業利益についてはセキュリティ事業が73%、モバイル事業が25%となっている。21年3月期は「FACE FOUR」が市場で高い評価を受け、大きな増収増益につながった。一方、22年3月期は新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きを見せ、検温需要が一巡した結果、検温特需の反動により減収減益で着地した。ただし、検温特需を除くコア事業は上回って成長をしている。

特徴と強み……モバイル事業の安定収益をセキュリティ事業の新商品や新サービスの創出に投資ができる体制にある。セキュリティ事業においては複数の海外メーカーや国内メーカーの商品を幅広く取り扱っており、顧客ニーズに合わせたカメラシステムの構築から施工までワンストップで実施できるため、柔軟なシステム構築が可能で、高い粗利を確保できる体制を構築している。また、当社独自の認定パートナー制度による販路の確立を行い、全国196社の認定パートナーによる販売の積み上げから安定した売上高と利益を確保できる。また、社会情勢を踏まえた顧客ニーズをいち早く捉え、高い企画力による新商品・新サービスを迅速に提供。先ほどの「FACE FOUR」についても、ニーズの検知から商品化まで3カ月足らずで実現できており、市場ニーズが高まっていた検温需要の時期を逸することなく一気に取り込むことができた。

成長戦略……AIを各種機器に実装することによる新たな価値の創造に取り組み、顧客ニーズの多様化に応える商品の企画・開発を行うことで成長を加速させ、「Safe City」の実現に向けて取り組んでいく。弊社はかねてマルチベンダー体制を構築しており、各種防犯カメラの特性を理解し、コストや撮影精度、操作性など、顧客ニーズに適した施工を行えるノウハウの蓄積がある。今後のさらなる多様化やニーズの変化に対応していくため、より一層商品ラインナップの強化・拡大を推進し、付加価値の高いソリューションの提供を通じて、他社と機能面・価格面での差別化を図っていく。また、今後はマンションやオフィスビルなどの開発、販売事業者、あるいは地方公共団体などの需要の増加が見込まれる。施工のキャパシティの拡充を図り、顧客層の拡大に伴う受注ボリュームの増加に対応、販売数量増加と利益の確保につなげていく。

新たな商品・サービスの展開……現在、実用化に向けてAIスマートストアの「FACE FREE」の実証実験を行っている。店内に設置された多数のAIカメラの画像認識機能と荷重センサー棚により、誰がどの商品を手に取ったかを認識することができるため、顔認証端末に顔をかざして入店し、好きな商品を手にとって店を出るだけで決済が完了する。これ以外にも、昨年10月にAI顔認証端末を活用した置き去り防止システム「Face Roll Call」をリリースした。昨今のこども園や幼稚園の通園バス、車内における園児の置き去り事故を防止するためのもの。11月にはアルコールチェックと検温を同時に可能なAI顔認証端末「Face Four Checker」もリリースした。こちらは22年4月施行の道路交通法改正による安全運転管理者のアルコールチェック義務化に対応する商品だ。

オリジナル商品「Deesブランド」……全てAIを搭載したカメラを自社でイチから企画・開発したもの。22年にリリースしたばかりなので、数字に表れるのは来期以降とみられる。現在は中国でのOEM製造となっているが、国内回帰を考え、金沢に研究開発拠点を建設中。日本の防犯カメラのほとんどは国外メーカーであり、メイドインジャパンの商品を作りたいという思いがある。将来的には10%、20%のシェアを目指したい。

行政・自治体との連携……顧問に竹中(平蔵)先生が入っていただいていることもよく質問いただくが、幸い私の父がもともと政治家であり、そして弊社の隈田専務は石川県の馳浩知事の教え子、森喜朗先生も石川出身ということもあり、そうした国とのパイプがいろいろある。また、20年に経産省主導で顔認証のコンソーシアムを作った際に、アイリスオーヤマさんとソフトバンクのJCVさんとダイワ通信、3社でまず立ち上げたという経緯もあって、そのあたりのネットワークはわれわれが一番強いと感じている。(SS)

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