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インタビュー2026年9月4日

鎌倉新書(6184・東証プライム)



よくわかる!! 鎌倉新書(6184・東証プライム)
~ Ishareアナリストが小林社長に聞く13の質問 ~

【会社名】鎌倉新書(6184・東証プライム)
【実施日】2026/07/10
【回答者】代表取締役社長COO 小林 史生 氏

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本テキストは Ishare が実施した鎌倉新書の小林史生社長へのインタビューの内容を書き起こしたものです。小林社長には、多くの投資家が抱く「13の質問」にお答えいただきました。

【鎌倉新書・会社概要】
葬儀・お墓・相続・介護・保険・自治体支援など、人生後半から死後の手続きまでの困りごとを横断的につなぐ「終活インフラ」を提供する会社です。足元ではSOMPOホールディングス(8630)との業務提携を開始しており、クロスユース(=一人の顧客による複数サービスの利用)も前年同期比で大きく伸びています。今後は、オンライン集客に加えて、自治体・介護施設・病院・アライアンスなどのオフライン接点を広げ、顧客データやAIを活用して複数サービスの利用を増やすことで、28/1期の売上高127億円・営業利益26億円、長期では35/1期の売上高500億円・営業利益100億円を目指す構想です。

Q1
鎌倉新書が展開している事業領域では、どのような社会課題を認識していますか。また、その課題に対4して、どのようなアプローチで事業を展開していますか。

当社は、終活が当たり前になる世界において、「終活といえば鎌倉新書」と想起していただける存在になることを目指しています。より端的に言えば、当社は「終活のインフラ」を作ろうとしています。

高齢者の方々とそのご家族は、人生の後半において、葬儀、お墓、仏壇、相続、介護、保険など、さまざまな課題に直面します。一方で、こうした課題は日常的に考えるものではないため、いざ終活関連のサービスが必要になった際に、「どこに相談すればよいのか」「何から始めればよいのか」が分かりにくい領域でもあります。

当社は、こうした不安や課題を解決するとともに、ご本人が人生の後半をよりよく過ごすためのお手伝いをしていきたいと考えています。具体的には、単に葬儀やお墓といった個別サービスを紹介するだけでなく、人生後半に必要となるさまざまな意思決定を支える存在になることを目指しています。

出所:鎌倉新書「中期経営計画」
【関連資料】中期経営計画におけるMission / Vision / Key Message【出所】鎌倉新書「中期経営計画」

Q2
「終活のインフラ」を目指すというお話がありました。終活に対して、利用者はどのような課題や悩みを抱えているのでしょうか。特に、親の高齢化に直面する50代前後の世代が抱える課題と、御社のサービスラインナップについて教えてください。

終活には、大きく分けて「親の終活」と「自分の終活」の二つがあります。現在の当社の主な顧客層は50代から60代前後の方々であり、自分自身の終活というよりも、高齢になった親の介護、葬儀、相続など、「親の終活」の課題に直面している方が中心です。

こうした領域は、人生で何度も経験するものではなく、何をすべきか、誰に相談すべきかが分かりにくいという特徴があります。当社は、家族だけでは判断しにくい場面において、状況を整理し、適切な事業者やサービスにつなぐことで、不安や負担を軽減しています。現時点では「親の終活」に伴う不安・負担の解消がビジネスの中心ですが、今後は本人が残りの人生をより充実して過ごすための「自分の終活」、すなわちウェルビーイングに近い領域にも取り組んでいく方針です。

出所:鎌倉新書「有価証券報告書 第42期」
【関連資料】ビジネスモデル図とサービスラインナップ【出所】鎌倉新書「有価証券報告書 第42期」

Q3
御社は「こころ・からだ・おかね」という切り口で、自社開発や事業譲受を通じてソリューションを増やしてきたと認識しています。すでに多くのサービスを展開していますが、「終活のインフラ」を実現するうえで、まだ十分にカバーできていない領域や、今後さらに拡充していきたい領域について教えてください。

親の終活、特に親の健康寿命が過ぎかけた段階から必要になるサービスについては、一定程度網羅できていると考えています。一方で、細かく見るとまだカバーできていない領域もあります。例えば介護では、施設に入る選択肢と在宅で介護を受ける選択肢がありますが、当社は現時点で在宅介護領域のサービスを十分にはカバーできていません。在宅介護にはケアマネジャーをはじめ多くの関係者が関わるため、解決すべき課題はあると考えています。

また、病院や在宅医療に関わる領域についても、現時点では十分なサービスを持っていません。加えて、介護施設や介護サービスの周辺領域、特に介護保険の対象外となる自費サービスのような領域にも入っていきたいと考えています。大枠では終活に必要な領域を捉えられているものの、今後は周辺サービスをより細かく取り込み、利用者の課題をより広く解決できる体制を作っていきたいと考えています。

鎌倉新書「2027年1月期 第1四半期決算説明資料」
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Q4
鎌倉新書のビジネスモデルはマッチングがベースだと認識しています。終活インフラを作るうえで、各ソリューションを自社で担う部分と、外部事業者と協業する部分をどのように住み分けていますか。

当社がやりたいことは、お客様が抱える複数の課題をまとめて解決できる状態を作ることです。終活領域では、例えば葬儀だけで課題が終わるわけではなく、その後に相続、不動産、保険、お墓、仏壇、墓じまいなど、さまざまな問題が連続して発生します。一つの課題に見えても、実際には複数の課題がつながっていることが多い領域です。

当社は、こうした終活に関わる課題をできるだけ幅広く捉え、必要に応じて適切な事業者やサービスにつなぐことで、利用者の負担を減らすことを重視しています。自社で直接担う領域と外部事業者につなぐ領域を使い分けながら、終活に関する複数の課題を一気通貫で捉える点、そして自社サービスも保有する点が、当社の差別化要素であると考えています。

Q5
御社と接点を持った顧客は、その後どの程度、他のサービスも利用しているのでしょうか。サービス間の回遊状況について教えてください。

サービス間のクロスユースは、当社にとって最大のチャレンジであり、同時に大きな機会でもあります。終活関連のサービスは、親が亡くなる、介護が必要になるといったライフイベントをきっかけにニーズが発生するため、その課題が解決すると顧客との接点が薄くなりやすい特徴があります。また、お客様は目の前の課題を解決したいという意識が強いため、別のニーズをその場で引き出すことは簡単ではありません。

一方で、終活領域では一つの課題の後に別の課題が発生しやすいため、クロスユースによってLTVを伸ばす余地は大きいと考えています。当社では、数年かけて顧客情報の一元管理を進めており、これはほぼ整ってきています。今後は、お客様センターの対応力を高めることに加え、蓄積したデータを活用し、顧客ごとの状況やニーズに合わせて適切にコミュニケーションを取ることで、サービス間の回遊を高めていく方針です。

鎌倉新書「2027年1月期 第1四半期決算説明資料」
【関連資料】クロスユース実績【出所】鎌倉新書「2027年1月期 第1四半期決算説明資料」

Q6
継続的な顧客接点を作る仕組みや、紹介先との連携も含めたLTV最大化について、どのような方針で事業を推進していますか。

当社は、必ずしもマッチングビジネスだけにこだわっているわけではありません。マッチングはアセットが軽い一方で、サービス提供者そのものと比べると顧客接点が薄くなりやすく、顧客体験をコントロールしにくい面もあります。そのため、今後のM&A戦略では、自社でサービスを持つ必要性もあると考えています。ただし、葬儀社のように重いアセットを抱える形で展開することは考えにくく、アセットが軽い領域で自社サービスを持つ、あるいはマッチングであっても当社が顧客接点の大部分を担うモデルを広げていきたいと考えています。

例えば介護施設の紹介では、従来のオンライン流入だけでなく、病院などへの訪問を通じたオフライン営業も進めています。病院から退院後の施設探しを相談され、利用者や家族と直接接点を持つことで、家族の状況や他の悩みも把握しやすくなります。その結果、当社が持つ複数の終活ソリューションにつなげやすくなり、クロスユースの機会も生まれやすくなります。
また、中長期ではSOMPOホールディングス(8630)との資本業務提携も重要です。特に、SOMPOケアはSOMPOホールディングス(8630)傘下で多くの介護施設を運営しており、施設入居後の利用者との接点を持っています。こうした接点に対して当社の終活サービスを提供していくことで、LTVの向上やクロスユースの拡大につなげていきたいと考えています。

鎌倉新書「2027年1月期 第1四半期決算説明資料」
【関連資料】2028年1月期までの戦略骨子【出所】鎌倉新書「2027年1月期 第1四半期決算説明資料」

Q7
鎌倉新書はレバレッジが低く、ネットキャッシュも一定程度確保しているなど、健全なバランスシートを有していると認識しています。この現預金や財務余力を、今後の事業展開においてどのように活用していく方針ですか。

キャッシュアロケーションとしては、まずM&Aで大きく投資していきたいと考えています。SOMPOホールディングス(8630)との資本業務提携で得た資金の活用も含め、既存サービスの拡充だけでなく、集客チャネルの獲得、顧客基盤の拡大、本人のウェルビーイング領域への展開など、終活インフラを作るために必要な領域へ投資していく方針です。短期的には、のれん負担に見合うシナジーを出せるM&Aを行うことが重要だと考えています。

次に、AIを含むIT投資も重要です。顧客情報の一元管理は進んできていますが、当社のサービスはライフイベントに応じた単発利用になりやすいため、今後はデータを活用し、どの顧客に、どのタイミングで、どのサービスを提案するかの精度を高めていきたいと考えています。三つ目は人材投資です。会社の成長フェーズが変わる中で、必要となるマネジメントや人材も変化していくため、優秀な人材の採用・育成にも継続的に投資していきたいと考えています。

鎌倉新書「2027年1月期 第1四半期決算説明資料」
【関連資料】成長力と資本収益性の向上に向けた投資領域【出所】鎌倉新書「2027年1月期 第1四半期決算説明資料」

Q8
AIを含めたIT投資について、AI活用の前提となるデータベースにはどのような情報があり、それを今後どのように活用していきたいと考えていますか。また、顧客の状況や会話内容のような定性的なデータについても、どのように活用していく方針ですか。

現状では、介護や葬儀など各種サービスの利用履歴情報の一元管理が進みつつあります。一方で、AIを本格的に活用するためには、より詳細なデータの取得と設計が必要だと考えています。

本来であれば、お客様との会話内容、どの商品を、いつ、どの経路で利用したかといった情報に加え、宗派、家族構成、資産状況など、相談や資料請求の過程で取得し得る属性情報も重要なデータになります。ただし、現時点では、「何のためにデータを使い、どのように保有し、どの程度のリターンを生むのか」まで設計したうえで蓄積する段階には至っていません。

また、終活領域では、時間軸を捉えることも非常に重要です。多くのニーズは何らかのライフイベントをきっかけに発生するため、顧客が最近どのような行動を取ったのか、その背景にどのような出来事があるのかを把握する必要があります。例えば不動産の場合、相続登記などのタイミングが売却ニーズの発生につながることがあります。今後は、Web上の行動データやパートナー企業から得られる情報も含めて、顧客の状況変化やイベントのタイミングを捉え、最適なタイミングで適切なサービスを提案できる体制を目指しています。

Q9
35/1期に売上高500億円・営業利益100億円という長期目標については、何が実現できれば達成できると考えていますか。

売上高500億円・営業利益100億円を達成するためには、現在の延長線上だけではなく、いくつかの大きな差分を作る必要があると考えています。

一つ目は、終活からウェルビーイングまでサービスラインナップを広げることです。現在は親の終活をきっかけに当社と接点を持つケースが多いですが、そのタイミングは本人が自分自身の終活を考える機会にもなります。そのため、顧客起点で必要なサービスを増やしていく必要があり、ここではM&Aも重要な手段になります。

二つ目は、集客チャネルの拡大です。これまではオンラインでの直接流入が中心でしたが、今後はアライアンス、官民連携、介護施設、病院など、オフラインかつ間接的なチャネルを広げていきたいと考えています。SOMPOホールディングス(8630)との提携に加え、将来的には他の介護施設運営会社などとの連携も視野に入ります。

三つ目は、自治体との連携です。終活に関する悩みは、まず自治体に相談されるケースも多いため、自治体から「終活支援なら鎌倉新書」と認知され、当社への相談につながる流れを作っていきたいと考えています。

四つ目は、顧客接点を活用したクロスユースの拡大です。一つの相談を起点に、介護、葬儀、相続、不動産、保険など複数のサービスにつなげることで、LTVを高めていくことが重要です。さらに、LTVや広告投資に対するリターンを高められれば、ブランド認知への投資も一気に強めていきたいと考えています。これらを通じて、終活領域におけるオンライン・オフライン双方の顧客接点を広げ、長期目標の達成を目指していきます。

鎌倉新書「2027年1月期 第1四半期決算説明資料」
【関連資料】長期ビジョン(売上高500億円以上・営業利益100億円以上)【出所】鎌倉新書「2027年1月期 第1四半期決算説明資料」

Q10
LTVを高めるためには、単発の相談として流入した顧客に複数のサービスを利用してもらう必要があります。そのためには顧客理解を深めることが重要である一方、データ入力や情報取得を細かくしすぎると効率が悪くなる可能性もあります。これまで鎌倉新書(6184)は仕組み化されたビジネスを強みにしてきたと認識していますが、今後はデジタルで効率化された仕組みに、人の接点をどのように組み込んでいく方針ですか。

単体の課題解決については、今後もできるだけ仕組み化・効率化していく方針です。例えばお墓のようなサービスでは、問い合わせの多くがWeb経由で入り、最後に電話で確認するような形になっています。必要な情報があれば、単体サービスの課題解決は大きく人手をかけなくても対応できると考えています。

一方で、クロスユースを生み出すには、単に情報を処理するだけでは不十分です。お客様の悩みを聞き出し、信頼関係を作る必要があるため、一定程度は人の介在が重要になります。今後は、「一人の顧客」だけでなく「一つの家族」として顧客を捉え、家族全体の課題を把握していくことも重要になると考えています。

そのためには、顧客の悩みを聞き出し、複数のサービスにつなげられる人材を育成していく必要があります。ただし、単に人を増やすのではなく、電話などの音声データや過去の対応データを活用し、どのような会話が顧客理解やクロスユースにつながるのかをAIも使いながら標準化していくことが重要です。当社のビジネスは限界利益が出やすい構造であるため、LTV向上に見合う形であれば、人を配置しても採算を合わせられると考えています。仕組み化されたビジネスをベースにしながら、クロスユースを生む重要な部分に人を介在させ、人とAIを組み合わせて顧客接点を深めていく方針です。

Q11
介護施設紹介の領域では、笑美面(9237)のように、売上高規模に対して多くのコーディネーターを抱える企業もあります。御社がサービスラインナップを広げたうえで、アナログな営業や顧客対応を強化していく場合、現在とは大きく異なる人員規模やコスト構造になる可能性があります。この点について、どのように考えていますか。

オフラインの顧客接点を持つ企業と当社の違いは、当社にはオンラインやアライアンス経由で入ってくる大量の顧客データがある点です。すべてのお客様に対して人を介在させるのではなく、その中からクロスユースの可能性が高いお客様を抽出し、濃い対応を行うことが重要だと考えています。全員に対してアナログに対応するモデルではなく、データを活用して人が対応すべき顧客を見極めることで、効率性を保ちながらLTVを高めていく方針です。

また、今後それぞれのサービスラインナップが伸びていく中で、クロスユースが売上高や利益率の向上に与える影響は大きいと考えています。売上高500億円・営業利益100億円という長期目標についても、単純に人員を増やして達成するというより、既存の集客基盤や顧客データを活用しながら、クロスユース比率を高めることが重要です。クロスユースによる売上高が全体の一定割合を占めるようになれば、営業利益率の改善にもつながり、売上高500億円に到達する前の段階でも営業利益100億円に近づける可能性があると考えています。

Q12
御社としてはどのような投資家に株主になってほしいと考えていますか。また、投資家に特に見てほしいポイントについて教えてください。

当社としては、社会課題の解決を中長期で評価していただける投資家に株主になっていただきたいと考えています。現時点で当社が支援できているお客様はまだ限られており、終活のインフラと呼べるほどの存在にはなりきれていません。一方で、終活に関する市場や社会的ニーズは今後5年、10年という長い時間軸で確実に存在し続けると考えています。当社は、その中で存在感を高め、より多くのお客様の課題を解決していくことが重要だと考えています。

終活領域は、顧客から見ると複数サービスのクロスユースが自然に起こりにくい面もありますが、介護、葬儀、相続、不動産、保険などの課題は連続して発生します。そのため、短期的な業績変動だけでなく、当社が顧客接点を広げ、社会課題を解決しながら中長期で成長していく姿を見ていただける投資家に評価していただきたいと考えています。

Q13
バリュエーションについて、御社は過去には成長期待の高い人気銘柄として評価されていた一方で、現在は以前ほど評価されていないようにも見えます。鎌倉新書(6184)として、現在の株価やバリュエーションにおいて、どのような点が十分に評価されていないと考えていますか。また、今後どのような投資家層に訴求していきたいと考えていますか。

短期的な業績だけを見ても、もう少し評価されてもよいのではないかという声を投資家の方からいただくことはあります。ただし、株価やバリュエーションには市況の影響もあるため、当社として重要だと考えているのは、当社の事業が社会課題の解決に向かっている会社であるという点を、まだ十分に打ち出し切れていないことです。

終活は高齢化社会における大きな社会課題であり、当社はその解決に取り組んでいますが、現状ではインパクト投資の対象として十分に認識されているとは言えません。また、現在の時価総額の規模では、一部の機関投資家にとって投資対象になりにくい面もあります。そのため、従来の成長株投資家だけでなく、社会課題の解決やインパクトを重視する投資家層にも訴求していく必要があると考えています。今後は、終活インフラを作る企業としての社会的意義や、事業成長と社会課題解決が結びついている点をより明確に伝えることで、新たな投資家層からの評価につなげていきたいと考えています。

GSG impact JAPAN National Partner「日本におけるインパクト投資の現状と課題2025年度調査」(2026年3月31日)
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