本テキストは Ishare が実施したスターシーズの鈴木社長へのインタビューの内容を書き起こしたものです。鈴木社長には、多くの投資家が抱く「16の質問」にお答えいただきました。
【会社名】スターシーズ(3083・東証スタンダード)
【実施日】2026/09/28
【回答者】代表取締役社長 鈴木 雅順 氏
【会社概要】
1989年設立。衣料品・服飾雑貨の販売を主力としてきたが、2025年7月に系統用蓄電池事業、同年9月にGPUサーバー事業を開始し、AIインフラ企業への事業転換を本格化。GPUサーバーの調達・販売から、冷却、電力、通信、クラウドサービス、保守・運用までを一貫して提供する体制の構築を目指す。サーバー販売に加え、レンタルや運用サービスによる継続収益の拡大を図る。27/2期の連結業績予想は、売上高350億円、営業利益16億円。サーバー販売を起点に、レンタルやクラウド、運用サービスへ事業を広げ、継続収益を積み上げる方針。
Q1
祖業のアパレルからAIインフラへ事業領域を広げていますが、現在の御社を一言で表すと、どのような会社でしょうか。また、事業転換を決めた背景を教えてください。
当社を一言でいえば、「AIを動かす土台をつくる会社」です。AIに必要な計算資源と、それを支える電力を一体で提供するAIインフラ企業を目指しています。
従来のアパレル事業では、競争環境や社内体制を踏まえると、今後の成長に限界があると考えました。そこで、まず再生可能エネルギーの活用を支える蓄電池事業に参入しました。電力の調整を担う蓄電池と、計算資源を提供するデータセンターには高い親和性があります。競争の激しい既存市場にとどまるより、新たな成長領域に事業を展開する方が適切だと判断しました。

【出所】スターシーズ「中期経営計画FY2027.2-FY2029.2」p.5 (2026/4/17)
Q2
AIインフラ企業として、お客様には具体的にどのようなサービスを提供するのでしょうか。
GPUサーバーの調達・販売から、GPUレンタル、クラウドサービス、保守・運用までを一気通貫で提供するシステムインテグレーターを目指しています。
お客様がAIを利用するには、サーバーの購入に加え、冷却システムや電力、通信環境の整備、運用体制の構築が必要です。それぞれの工程を専門とする会社はありますが、当社が参入した時点では、これらを一貫して提供できる国内のプレイヤーはほとんどいないと捉え、この市場に参入しました。
今後、競合の参入も予想されますが、先行して事業基盤を築き、「スターシーズに相談すれば対応してもらえる」という体制をつくっていきたいと考えています。
Q3
調達から運用までを一気通貫で手掛けることは、お客様と御社に、それぞれどのようなメリットをもたらしますか。
ここが最大の論点であり、私自身としても伝えたい点です。
お客様にとって大きいのは、導入のスピードと見通しの立てやすさです。機器の調達、設置、運用を別々に進めると、それぞれの工程で時間がかかります。当社が一貫して関わることで、いつ調達でき、いつ設置し、いつから運用を始められるのかという全体の流れを示しやすくなります。
当社にとっては、機器販売を起点に、その後のレンタルやクラウド、運用まで継続的に関われることが重要です。私には証券会社での経験がありますが、投資信託も販売時の収益に加えて、保有が続くことで継続的な収益が生まれます。AIインフラでも同じように、導入後の利用や運用を通じて収益が積み上がる形をつくりたいと考えています。

【出所】スターシーズ「中期経営計画FY2027.2-FY2029.2」p.16 (2026/4/17)
Q4
足元でGPUサーバー事業が伸びている背景を、どのように捉えていますか。
最大の背景は、世界的にAI投資が本格化したことです。計算資源の確保が重要になり、GPUサーバーへの需要が高まっています。
米中を巡る環境も含め、中間地点にある日本での調達に商機が生まれていると捉えています。こうした市場の拡大が、当社の短期的な販売拡大につながっています。
Q5
業績予想の上方修正が続いています。案件を業績予想に織り込む際の考え方を教えてください。
確度を重視し、売上の積み上がりを確認したうえで予想に反映する方針です。従来のアパレル事業では、計画した数字を達成できず、下方修正に至ることがありました。その経緯も踏まえ、見込める案件があるというだけで数字を出すことには慎重です。
お客様との間で開示できる内容を確認し、数字の確度が高まった段階で公表しています。販売案件があっても、売上がしっかり積み上がったことを確認してから判断したいというのが、私の考え方です。
Q6
GPUサーバーは大手商社やSI企業も取り扱っています。そのなかで、御社が選ばれる理由はどこにあるのでしょうか。
この市場では、大手企業だけが選ばれているわけではありません。新しい製品や需要が生まれている領域であり、価格や調達条件などに応じて当社にも機会があります。同じメーカーの製品であれば、製品そのものだけで大きな違いが出るわけではありません。
そのうえで当社が重視しているのは、販売後の活用まで含めた提案です。サーバーを納めた後、その計算資源を使うお客様、いわゆるオフテイカーの紹介まで相談に乗れる可能性があります。こうした点も、当社を選んでいただく理由の一つになっていると考えています。

【出所】スターシーズ「中期経営計画FY2027.2-FY2029.2」p.8 (2026/4/17)
Q7
クラウド事業では、具体的にどのように収益を上げていくのでしょうか。
分かりやすくいえば、「GPUの月極駐車場」のようなイメージです。GPUを月額で貸し出すほか、クラウドサービスや運用代行を通じて、毎月の収益を積み上げていきます。
従来のアパレル事業のように、在庫を仕入れ、売れなければ損失を計上するという収益構造から転換したいと考えています。サーバー販売で収益を確保しながら、継続的な利用料や運用収入を得られるストック型の事業を育てる方針です。

【出所】スターシーズ「中期経営計画FY2027.2-FY2029.2」p.21 (2026/4/17)
Q8
GPUの値下がりや技術の世代交代については、どのように考えていますか。
GPUの価格が下がる可能性は、当然あると考えています。半導体市場では、過去にも価格が大きく変動してきました。現在の需要環境がそのまま続くことを前提にはしていません。
だからこそ、販売だけに依存したくないのです。レンタルやクラウド、運用サービスにも事業を広げ、収益源を複数持ちたいと考えています。一気通貫の事業モデルを目指す背景には、技術の世代交代を踏まえて収益構造をつくりたいという問題意識もあります。
Q9
カストロールやxFusionとの協業について、狙いと現在の進捗を教えてください。
最新のGPUを活用するうえで、冷却技術は重要になります。
カストロールとの連携などを通じて、次世代の機器に対応するための準備を進めています。現時点ですべてが完成しているわけではありませんが、先行して協力関係を築くことで、今後の調達や設置を円滑に進められると期待しています。
xFusionとも良好な関係を築いています。同社は大きな調達ルートを持ち、必要な機器や構成についてスピード感を持って対応していただいています。子会社のスターシーズデジタルにとって、供給力を支える重要な関係です。

【出所】スターシーズ中期経営計画FY2027.2-FY2029.2」p.24 (2026/4/17)
Q10
米国のRicloud AIとの基本合意には、どのような狙いがありますか。米国で得た知見を日本でも活用するのでしょうか。
米国はAIインフラの整備で先行しており、そこで事業に関わることには大きな意義があると考えています。個別案件は協議中ですが、現地でデータセンターを運営する企業のノウハウや顧客ネットワークを共有できることを重視しています。
米国で得た運営技術や知見を、日本での事業展開にも生かしたいと考えています。海外での事業機会を捉えるとともに、国内でAIインフラ事業を育てるための経験を蓄積し、競争力を高めていく狙いです。

【出所】スターシーズ「Ricloud AI Inc.とのAIデータセンター及びGPUインフラ事業に関する基本合意書締結のお知らせ」(2026/7/24)
Q11
自社でのAIデータセンター開発・運営は、成長戦略のなかでどのような位置付けになるのでしょうか。
AIデータセンターの開発・運営は、今後の事業構想の中核です。サーバーの仕入れから開発、レンタル、運営までを一体で手掛けたいと考えています。
今後3~5年で、最先端の技術に対応し、それらを統合して提供できる国内の有力企業を目指します。個々の機器を供給するだけでなく、お客様がAIを利用するために必要な仕組み全体を提供することが重要だと考えています。
Q12
データセンターでは電力の確保が重要になります。蓄電池事業の強みは、AIデータセンター事業にどのように生かせるのでしょうか。
AIデータセンターは24時間稼働するため、電力が重要です。一方、蓄電池は電力の需給を調整する役割を担うことができます。この点で、両事業には高い親和性があると考えています。
今後、電力の安定供給が可能であった火力発電の発電量が減少していく中で、政府の方針もあり、発電設備が電力を供給し、蓄電池などが需給を調整するという役割分担が進むと見ています。そうしたなかで、蓄電池事業の強みをデータセンターにも生かしたいと考えています。計算資源と電力の両方に関わることが、当社の特徴になると捉えています。

【出所】スターシーズ「中期経営計画FY2027.2-FY2029.2」p.19 (2026/4/17)
Q13
新株予約権による資金調達も進めています。調達資金は、どのような分野に投じていく考えですか。
サーバーの調達や蓄電池の整備が中心になります。それに加えて、人材の確保や運用体制の構築にも積極的に資金を投じたいと考えています。
システムインテグレーターとして成長するには、設備だけでなく、それを扱い、運用できる人材が欠かせません。大手企業が競争力を築いてきた背景にも、人への投資があると考えています。当社も、人材を重要な財産と捉え、事業を支える組織づくりを進めていきます。
Q14
専門性の高いエンジニアや技術者の確保が必要になると思います。優秀な人材を集めるために、何を重視していますか。
まずは、報酬を上げることです。そのうえで、運用体制を整え、「ここで働きたい」と思ってもらえる場所を提供する必要があります。
先日、上海でファーウェイが開催したAIデータセンター関連のカンファレンスに参加しました。世界中から参加者約2万人が集まり、必要な技術や設備、顧客のニーズについて熱心に情報を集めていました。一方、日本からの参加者は50名程度と少なく、海外との投資意欲の違いを感じました。
ファーウェイの施設も訪問しましたが、人材と研究環境に大きく投資していることが印象的でした。そうした環境に優秀な人材が集まり、さらに顧客や取引先も集まってきます。現地でお会いした日本の商社の経営幹部とも、人や環境への投資が重要だという話をしました。
そうした環境に人材が集まり、顧客や取引先も集まってくると感じています。当社も、報酬と職場環境の両面から、専門人材を迎えられる体制を整えていきたいと考えています。
Q15
株主還元について、今回の施策にはどのような狙いがありますか。
まず当社を知っていただくことを重視しています。株主優待などをきっかけに株式を持っていただき、そこから事業内容や将来の方向性に関心を持っていただきたいと考えています。
私自身は、今回の施策には広告宣伝としての役割もあると捉えています。AIインフラ企業への転換を進める当社を知っていただく、その入り口にしたいという考えです。

【出所】スターシーズ「継続的な株主優待制度の導入に関するお知らせ」(2026/9/2)
Q16
最後に、3年後のスターシーズは、投資家からどのような会社として認識されていたいですか。
「ホームランだけでなく、ヒットを積み上げて勝つ会社」にしたいと考えています。サーバー販売で稼ぎ、クラウドで収益を積み上げる。一時的に売上や利益が大きく増えるだけでなく、ストックビジネスによって安定した「負けない」会社をつくりたいのです。
3年後には、AIの計算資源と電力をセットで提供できるシステムインテグレーターとして認識されたいと考えています。GPUを届け、データセンターの運営を担い、それらを組み合わせたビジネスモデルを提供する会社を目指します。
Uberがタクシーそのものを売るのではなく、利用するための仕組みを提供しているように、当社もAIインフラを利用する仕組みを提供する会社になれればと考えています。投資家の皆様には、こうした構想がどのような成果につながるのか、今後の結果を見ていただきたいと思います。
