キューブ(7112)が10月7日、グロースに新規上場する。

ゴルフウェアの富裕層向けラグジュアリーブランドを展開。主力ブランドである「MARK＆LONA」を立ち上げたのは、同社の代表取締役社長でクリエイティブディレクターでもある松村智明氏。

数百年の歴史を持つゴルフはドレスコードに厳しいスポーツとして知られ、ゴルフウェアもかつては保守的なデザインが一般的だった。こうした中、「MARK＆LONA」は世界初の“ラグジュアリーゴルフ”というコンセプトを持ち込み、個性的かつ機能性に富んだゴルフカジュアルウェアとして一躍注目を浴びる存在に。2018年には俳優・タレントとして活躍する木村拓哉さんがブランドアンバサダーに就任したことでも話題を呼んだ。

現在は日本国内の代理店に対する国内卸事業を始め、国内リテール、国内EC(電子商取引)および海外ECを展開している。また、韓国の代理店と「MARK＆LONA」の独占販売・使用許諾契約を締結の上、代理店を通じて韓国の主要都市における路面店や百貨店で店舗を展開。同国においては輸入販売だけでなく、ライセンス商品の企画・生産・販売も行っている。さらに、イタリアや米国との卸先とも商品取引基本契約を締結の上、ラグジュアリーブランドを取り扱う高級ブティックやEC向けにも展開している。

国内リテール事業では直営店舗を展開しているが、あえて過度な出店は行わず、富裕層が集う国内主要都市の商業施設・百貨店に限定して出店。ECサイトは国内向け、グローバル向けの2つのサイトのほか、ZOZOが運営する「ZOZOTOWN」においてもショップを展開している。

昨今のゴルフ人気を受けて、新規にゴルフ用品・ウェア市場に参入する事業者も散見されるが、富裕層向けに特化した専業ブランドとして構築してきた同社のブランド力は一朝一夕に生み出すことができるものではなく、競争優位性となっている。

今後は日本・韓国を中心に創り上げてきたブランディングを武器に、D2C(消費者直接取引)とDX(デジタルトランスフォーメーション)を極めた“次世代アパレル”の理想形を目指す。デジタルマーケティングによる顧客接点の強化を通じ、ECチャネルを主とする国内外での新規売り上げの増大、過去のデータ分析に基づく需給予測を通じた商品のプロパー消化比率の向上を推進する。

具体的には、海外に向けたアプリや動画配信などデジタルを中心としたマーケティング投資、オフライン(実店舗)・オンライン(EC)の販売チャネルの融合や、越境ECの購買データ活用によるグローバル展開の強化を図る。国内では大型旗艦店や路面店などの出店開発を行うほか、日焼け止めやヘアケアなどのコスメ関連、ゴルフシューズといった新規ジャンル開拓に向けた商品やブランドを立ち上げ、新たな収益の柱の創出や既存商品とのクロスセルを狙う。(SS)

●事業内容=MARK&LONAなどの自社ブランドの衣料品の企画、並びに小売り・卸売り事業
●本社=東京都港区赤坂2-17-7
●代表者=松村智明代表取締役社長
●設立=1994年12月
●上場前資本金=1億円
●発行済み株式数=607万4,000株(上場時)
●筆頭株主=エヌエックスシー・ジャパン合同会社(上場前45.02%)
●公募株式数=73万4,000株
●売出株式数=70万2,000株(ほかにオーバーアロットメントで21万5,400株)
●仮条件=9月16日に決定
●ブックビル期間=9月20日から27日まで
●引受証券=野村(主幹事)、大和、三菱UFJモルガン・スタンレー、SBI、東海東京、岩井コスモ、楽天