本テキストは、ウイン・パートナーズの秋沢社長への インタビュー内容 を書き起こしたものです。秋沢社長には、多くの投資家が抱く「19の質問」にお答えいただきました。
【会社名】ウイン・パートナーズ(3183・東証プライム)
【実施日】2026/09/11
【回答者】代表取締役社長 秋沢 英海 氏
【会社概要】
1983年に中核子会社のウイン・インターナショナルの前身である会社が創業し、2013年にテスコとの経営統合でウイン・パートナーズを設立。心臓カテーテルを中心とする医療機器専門商社で、循環器領域に強みを持ち、消耗品から大型医療機器の販売、医療施設の成長支援と課題解決運営支援をまで手掛ける。2026年3月期の連結売上高は903億91百万円、連結営業利益は30億20百万円。同業他社のM&Aや新規西日本での顧客開拓による事業拡大に加え、医療機器・資産管理システム「WIN Asset」を展開。病院の業務効率化とともにを支援し、機器の更新需要を捉えた販売機会の拡大を目指している。
Q1
現在の事業ポートフォリオや顧客である病院とのコネクションを築くまでの経緯を、いくつかのターニングポイントごとに区切って教えてください。
前身のタクミコンサーンでは、私(秋沢社長)が入社した1992年当時、カテーテル、リハビリ機器の国内総代理店、パキスタンからの医療器具輸入という三つの事業を手掛けていました。ただ、総勢20人ほどで三つの事業を展開するのは難しく、赤字でもあったため、事業を整理しました。
そこで、当時はまだ黎明期でしたが、今後の成長が期待できるカテーテル分野に経営資源を集中しました。関東地区で早い段階から営業所を展開したこともあり、数多くあった年商2-30億円クラスの同業他社の中から抜き出て規模を拡大できたと考えています。
その後、人材採用や社会的信用の向上を目的として2002年に株式を公開し、同業他社5社と資本業務提携を行いました。そのうちの1社がテスコです。2013年にテスコと経営統合によりウイン・パートナーズを設立し、現在に至っています。

【出所】ウイン・パートナーズ 個人投資家向け会社説明会(札幌6/30)資料 p.8 (2026/07/31) p.6 (2026/07/31)

【出所】ウイン・パートナーズ 個人投資家向け会社説明会(札幌6/30)資料 p.6 (2026/07/31)
Q2
既存事業の拡大やM&Aは、どのような考え方で進めていますか。
私たちが扱う製品は基本的に消耗品ですので、取扱量が多くなければコストメリットが出ません。仕入れ先に対する購買力を高めるためにも、一定の量が必要です。
そのため、既存会社の売上を増やすとともに、同じ領域の会社をM&Aで取り込んでいくことが、基本的な成長の考え方になります。
Q3
病院との取引ネットワークは、どのように構築してきたのでしょうか。独特の商慣習を含めて詳細に教えてください。
心臓カテーテルが日本に導入された当初、その普及を担う中心的な先生方が5名ほどいらっしゃいました。そのうちのお一人とお付き合いいただき、その先生が関東地区の病院へ指導に行く際に、私たちも同行して治療の導入などをお手伝いしていました。
その後も、キーとなる病院への通常の営業活動もありましたが、主に取引のある先生が別の病院へ異動されたり、既存業者の知識や対応に問題があった病院から相談をいただいたりすることで、取引先を広げてきました。
Q4
御社が心臓カテーテル機器を展開し始めた当初、数多くの競合他社の中から御社が顧客から選ばれ、シェアを伸ばす転機となった出来事はありますか。
当時、関東圏で多くの症例を扱っていた、ある病院様との取引を獲得できたことは、大きな転機でした。
私自身が営業の前線に立ち、その病院と取引したいという思いを仕入れ先などに伝えていたところ、既存業者の担当者が2年連続で数日間連絡がつかなくなるなど対応に問題があり、新たな業者を探しているという連絡をメーカーからいただきました。すぐに責任者の先生にお会いし、取引を開始することができました。
その先生も各地で指導される立場にあり、私たちも同行することで取引を広げていきました。新製品の導入にも積極的な先生でしたので、新しい情報が早く入ってくる点でも、非常にありがたい存在でした。
Q5
今後は新規病院の開拓と既存顧客の深耕のどちらにポテンシャルがあると考えていますか。
両方です。取引先の病院数が466で頭打ちになっているとは考えていません。西日本を含めて、まだ十分に手を付けられていない地域がありますので、そこは広げていく必要があります。
一方で、メインの既存顧客である循環器内科との関係を深め、そこをタッチポイントに消化器内科や心臓外科向けに取り扱う商材を広げる方が進めやすい面もあります。新しい地域では、知り合いの先生の異動、入札案件への参加、病院グループによる業者の見直しなどを機会として捉えます。そうした機会を追いながら、既存顧客の深耕も進めていく考えです。
Q6
今後の御社の事業規模拡大には既存業者からのスイッチングが必要と認識していますが、病院が取引業者を切り替える際、何が重要になりますか。
最も重要なのは、現場の先生との関係です。付き合いやすく、意思疎通が円滑にできるという信頼がなければ、切り替えはなかなか進みません。
そのため、取引のある先生の異動は、一つのきっかけになります。また、大学病院は医局員を各病院に派遣するため、大学病院との接点を持つことは、私たちの業界でも重視されています。

【出所】ウイン・パートナーズ 個人投資家向け会社説明会(札幌6/30)資料 p.26 (2026/07/31)
Q7
製品の供給以外に、病院へどのような付加価値を提供して取引の開拓につなげていますか。
一つは、保険請求の漏れを防ぐための支援です。私たちが扱う商材は種類が多く、病院では使用したものを記録して保険請求する必要がありますが、どうしても漏れが生じることがあります。当社は、その業務を補完するシステムを持っています。
もう一つは、病院に関する情報です。関東・東北では幅広い取引先がありますので、各病院の経営や現場の状況について情報を持っています。先生が派遣先の病院について知りたい場合や、大学側がどのような先生を派遣すべきか判断する場合などにも、こうした情報を提供できます。
Q8
メーカーが御社を経由して販売する理由は何でしょうか。
病院側には、複数メーカーとの取引を販売会社1社にまとめた方が、窓口を一本化できて便利だという事情があります。その窓口を私たちが担えば、メーカーの製品も当社を経由して納入されることになります。販売量が大きいことも、メーカーから選ばれる理由です。
また、メーカーには取引先を減らして管理コストを抑えたいという意向があります。大きな販売会社に取引を集約し、小規模な販売会社には二次店になってもらう動きです。当社にも、一次店として小規模な販売会社を管理してほしいという話が来ています。
Q9
営業人材の育成には、どのように取り組んでいますか。
製品知識については、新入社員の頃からカテゴリーごとにウェブで全国一斉の教育を行っています。
一方で、人間力については非常に難しいところがありますが、新任の課長や部長などに向け、「秋沢塾」と称して私自身が話をして、物事の考え方を学んでもらう機会を設けています。
目先のことだけを見るのではなく、将来を見据えることや、管理職として立ち居振る舞いまで見られているという意識を持つことを伝えています。参考となる書籍も紹介していますが、その先の成長は本人の努力による部分も大きいと考えています。
Q10
社員に最も大切にしてほしい考え方は何ですか。
常に伝えているのは、仕事ではプロセスが大事だということです。上場企業ですので売上や利益はもちろん重要ですが、それらは結果として出てくるものです。プロセスが間違っていれば、きちんとした成果にはつながりません。
例えば、私たちの製品は病院で治療や検査が行われて初めて売上になります。年間100人の手術患者さんを150人に増やすにはどうすればよいか、まず先生方と一緒に考えるわけです。市場調査を行い、地域にどれだけ患者さんがいるはずなのか、なぜ来院につながっていないのかを議論します。
必要な働きかけを考え、患者さんに来ていただき、その結果として製品を使っていただく。そうした過程を大切にしています。実際、このような地道な取り組みが当社の取り扱う機器を優先的に使っていただくことにもつながっていると感じます。
Q11
営業担当者は、日々どのような業務を行っていますか。
一般的には、朝、営業所に届いた製品を仕分けして車に積み、病院へ納品します。同時に、前日に使用された製品を確認し、補充の発注を行います。
その際、先生方と前日の症例や当日の症例について話をします。この時間が、最も密度の高い営業活動です。その後は症例に対応したり、別の診療科を訪問したりして、夕方に営業所へ戻り、事務作業を行います。
また、病院の経営陣や事務の方々にも困りごとがないかを伺っています。そうした声を集め、問題を解決できる会社になりたいと考えています。
Q12
メーカー側との交渉や収益管理は、誰がどのように担当していますか。
病院を担当する営業社員が、メーカーとも直接やり取りしています。メーカーから新製品などの情報を受け取り、それを現場の先生方に伝えるとともに、現場の生の声をメーカーに直接届けることができています。
また、仕入れ価格と病院への納入価格の両方を、営業担当者が交渉します。自分の数字に責任を持つという意味でも、仕入れと販売のバランスを考える必要があります。担当営業の収益管理は、粗利益を軸に行っています。
Q13
御社の株価を判断する上で利益率の変化は特に重要な要素ですが、利益率の管理について、どのような方針を持っていますか。
社内では、全体の粗利益率が12.5%程度で、そこから9%程度のコストがかかり、営業利益率が3~3.5%程度になるという構造を共有しています。
ただし、粗利益率が低い取引を一律に止める仕組みにはしていません。新規顧客との取引を始める際には、最初は低い利益率で入っても、その後、徐々に改善していく余地があるためです。
価格転嫁の交渉なども含めて改善を図ることが重要であり、目先の利益率だけで機械的に判断するのは適切ではないと考えています。

【出所】ウイン・パートナーズ 個人投資家向け会社説明会(札幌6/30)資料 p.36 (2026/07/31)
Q14
手元の現預金や財務余力は、どのように活用しますか。
資金の使い方については、投資家の皆さまからもご意見をいただいています。現在、業界は再編の時期に入っていますので、10億から100億円規模の同業他社の買収に活用していくことを考えています。
当社が一次店として取引している二次店と一緒になることも、選択肢の一つです。取扱量を増やし、仕入れや販売における交渉力を高めていくことが基本になります。

【出所】ウイン・パートナーズ 個人投資家向け会社説明会(札幌6/30)資料 p.9 (2026/07/31)
Q15
15年後、御社はどのような企業になっていると考えますか。
同業他社と比べて、どのような企業が生き残るのかは常に考えています。創業者がいる間は強い力で会社を引っ張れても、いなくなったときに組織のまとまりが弱まる可能性があります。そのため、会社としての求心力をどう持たせるかが重要です。
優秀な人材を経営の中心に据えながら、既存事業を着実に進めることに加え、今年から始めた医療機器・資産管理システム「WIN Asset」のように顧客のデジタル化をどれだけ支援できるかが、今後のポイントになると考えています。

【出所】ウイン・パートナーズ 個人投資家向け会社説明会(札幌6/30)資料 p.34 (2026/07/31)
Q16
資産管理ソフト「WIN Asset」には、どのような事業機会がありますか。「WIN Asset」単体のみでなく、御社のビジネス全体の広がりも含めてその狙い、ポテンシャルを教えてください。
医療機器を資産として管理し、購入時期やメンテナンスの履歴、買い替え時期などを提案できるクラウド型システムです。
これにより、病院の資産管理を支援するとともに、当社の医療機器の販売機会を増やすことにつながります。さらに、販売機会の均質化により運転資本を減らすことも考えられます。
医療機器は平均すると7年程度で入れ替わるという感覚ですので、データを蓄積することで、当社の経営をより効率化させる中長期的に面白いビジネスになると考えています。取材時点ですでに約50病院と契約しており、提案先からの反応も良好です。

【出所】ウイン・パートナーズ 個人投資家向け会社説明会(札幌6/30)資料 p.32 (2026/07/31)
Q17
既存事業と離れた新分野への進出は考えていますか。
医療の中で伸びている領域としては、私たちの領域に加え、眼科や整形外科があります。ただ、整形外科はメーカーの力が強く、販売会社のマージンが非常に低い分野です。眼科も、当社の既存領域とは異なる専門性が求められます。
そのため、まずは既存領域を拡張し、現在取引している診療科で使われる大型機器などの販売を広げる方向になると考えています。資産管理ソフトも、その展開につながるものです。大きな飛び地への進出より、やるべきことを着実に進めていく考えです。
Q18
配当に対する考え方を教えてください。
もともとは配当性向30%以上を目標としていましたが、取材時点では60%台となっています。配当額を機械的に決める明確な計算式があるわけではありません。
私自身の思いとしては、減配は絶対にしたくないと考えています。また、私も大株主ですので、株主になっていただいた方々の気持ちはよく分かります。そうした思いを持って、還元を考えています。

【出所】ウイン・パートナーズ 個人投資家向け会社説明会(札幌6/30)資料 p.39 (2026/07/31)
Q19
最後に、投資家へのメッセージをお願いします。
確実な仕事を積み重ね、着実に事業を進めていきます。長期の目線で当社を見ていただき、応援していただければありがたいと考えています。
